2011年10月12日水曜日

3-3 言語の本質Ⅲ・「英語で考える」再び

2-6で「英語で考える」とはどういうことか?との質問を出した。

これが10歳以下の子供には、簡単。彼らの脳は、最初から音と世界との結び付けを、「言語という本能」の枠組みの中で、意識を使うことなく、呼吸するように自然に言語を身に付ける。言語は無意識の自然な条件反射として脳内に組み込まれるのだ。

しかし、自分たちのように、25歳も過ぎて、不自然な学習法で汚された脳で英語を学ぶには、別の学習法が必要である。

それは、意識して音と世界の対応を条件反射になるまで脳に刷り込む、そして次に音と文字との対応関係を再度学習する。

最初は、音⇒(日本語の意識)⇒反応・意味という過程で学習は進むが、何度も繰り返す事で(日本語の意識)が消え、音⇒反応・意味という条件反射が、基本要素として確立する。次に、一つの条件反射が出来たら、さらに複数の条件反射を組み合わせて、大きな単位の条件反射を作っていく。

これが、<言語とはピラミッドのように階層化された条件反射の集合体である>ということの意味である。
さらには、文法という概念も「条件反射」のひとつとして学習されるので(詳細は後述)、日本語の意識が入ることなく、英語脳が構築されていく。
これが「英語で考える」という事である。

最新の脳科学の研究成果も、この考え方の正しさを証明している
脳(大脳皮質)はその領域によって、色々な機能が局在している。
脳に怪我を負った人の研究で、特にある特定部位を傷つけると失語症といい、理解しても言語として表現できない患者さん発生した。
また最近は計測機器の進歩から、脳を外部から血流状態をリアルタイムに見れるようになり、脳の処理内容がどの部分に対応しているかも判るようになってきた。
人間の言語処理は左半球で上図のブローカ野(言語動作)とウェルニッケ野(文法処理)という部分が担っている事は失語症の研究で判っていたし、さらに最新の計測機器でも中学生、高校生が英語を学習している時は、この二つに血流が集中している事も確認された。

しかし、最新の研究で判ったさらに面白い事実がある。それは
「言語の初期の学習時にはウェルニッケ野の血流が増加するが、さらに学習が進み流暢になってくると、こんどは逆に血流量が減少する」
ウェルニッケ野は最初は意識的な文法学習に使われていても、学習が進むと逆に使われなくなってくる。これは意識レベルの学習処理が次第に条件反射の無意識レベルに再編成され、意識レベルの負荷が減ってくるとを示している。
意識レベルでの文法処理を介しているうちは、自然な英文を構築する事はできない。実際の脳も、条件反射の階層化で文法処理を行っているらしい。

さて、そろそろ、ここまでの理解を得て、初級の実践を始めよう。

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