2011年10月1日土曜日

1-10 ちょっと長い自己紹介

ツイッターの自己紹介にはこう書いた。

「ベンチャー立ち上げ職人。専門はパターン認識とコンピュータビジョン。ムンバイ、深圳、イェルサレム、パリ、ボストン近辺うろうろ。時々イスタンブールやベニスに逃避。帰国時はドラマーとして新宿、荻窪近辺に出没。福島県出身につき原発問題へのコメントは批判的に偏向してます。」
まるで最初から海外でバリバリ活躍してるようだ。確かに、アメリカのMITの教授、イスラエルのヘブライ大学の教授等ともベンチャー企業を設立してるし、イスラエルの会社はM&Aまで自分でまとめた。痒いけど、自分を帰国子女と思ってる人もいる。(こんな発音の悪い帰国子女いない!)

現実は全く違う!

出身は福島県の会津若松市。高校までは普通の田舎暮らし。東京に出てくるのは年に一度あるかどうか。外国人を街で見かけた日には話題になるような街。中学校の英語の先生の発音とか、本当に酷いものだった。(先生ごめん!)現在、日本の中学校の英語教師、TOEICが560点、高校が620点らしい。それは問題だけど、当時の先生のTOEICなんて絶対に500点もなかったと思う。

でも重要なのは、それでもこうして話せるようになったという事実!

このBlog書くのに少し躊躇したのは自分の学歴。隠すことでも無いけど、上智大学の文学部心理学科卒。上智の文学部なら英語しゃべれて当然とかのイメージがあるから。
そんなことが無いのは当時の同級生なら皆わかるだろう。英会話の授業は悲惨の極み。最初から普通に話す御嬢系女子高卒、帰国子女らが周りに沢山いたが、田舎から出てきた男どもは全く話せない!部屋の片隅で「嵐が過ぎるのを」じっと待つ90分の長かったこと。
英作文レポートは「ミスが多すぎて採点不可能!」とまで。さらに普通に英語とは縁のない生活で受験英語の知識すらキレイに白紙に戻ってしまった。

そして初めての海外は27歳でサンフランシスコ出張。コーヒー1杯注文できずに悶々。そこで一念発起、1年近く暗中模索して自分なりの勉強方法を考え、その後2年くらい集中して勉強し、何とかしゃべれるようになり今に至るわけだ。

その後、自分はこの学習法を周りの何人かに広めたけど、例えば自分の実兄、日大の商学部を出て以来、英語に無縁の40歳が、自分でビジネスを英語でできるようにまでなった。
いつか時間ができたらこの学習法を伝える本でも書こうとか思っていたけど、今の日本の状況に対して貢献できればと、こうして書き始めた。

これから2~3ヵ月で何とかまとめたいが、このBlogで伝えた方法で身に付けるのには最低でも半年はかかると思う。しかし、半年で今までの日本の英語教育で脳に埋め込まれたゴミを排除する事ができれば、その後は自然に上昇は続くことを確信している。

自分の英語力の進歩を見ても、32歳でMITの教授と最初の会社を作った時よりも、その後、ずっと伸び続けているのが実感できてる。24歳の時に見た映画「ブレードランナー」を15年後にビデオで見て、そのままスッと理解できた時の感動は今でも忘れない。

1-9 英語の現場(1) 中国、インド

では実際どのように英語が現場で使われているかをざっと見てみよう。(ここには語学材料はないので、悪しからず)自分はアフリカと南米以外はかなりの国を仕事で回っているが、その中でもIT業界に限っての話。

■原則
世界中でビジネスしてきて、世界には4つのビジネス文化圏があると痛感している。
それは、

1.中国(本土)
2.インド
3.イスラエル
4.それ以外(欧米、アジア、その他)

イスラム圏は全く別の文化圏と言われるが、まだ書けるほどの十分な経験は無い。インド・イスラエルは会社も作り、20年弱の経験がある。

1.中国
普通の中国人は日本人と同じくらいに英語が話せない。しかし現在のITビジネスは中国抜きでは考えられない。
世界中の携帯電話の8割、PCの9割は中国で生産されている。携帯電話はこの1年間で8億台が出荷されたそうだ。その中心は香港から電車で40分で行ける深圳という都市。人口は1400万人~1600万人。毎年100万人ずつ人口が増加するという驚異的な発展が今も続いている。
深圳の企業の相手は殆どが外国企業、だからどこでも英語が通じる・・・はずだが、実際の英語はダメ。打ち合わせには「どこかから」英語の話せる「社員」が現れる。ほとんが女性。大学の英文科を出ているらしいが、英語力は日本の中学2年生程度。でも、その英語力でも驚異的な押しの強さでビジネスを進める。
百戦錬磨で英語能力も高いインド人にもひるむことなく、果敢に挑んでいく。この深圳パワーを見れば、日本人に欠けてるのは英語力じゃなくて、「押しの強さ」だけじゃないかと思えてくる。深圳で交渉するなら、専門用語と、中学2年くらいの英語力で十分。ただし、交渉マナーとして、最初にYESかNOかをはっきりと意思表示する事。値段などに関しても、小出しにするより、最初にドーンと目標値を設定して、YESかNOかをはっきりさせてから、次に進む。
最初に行った値段とか数量を当日決めずに、翌日に変えたりしたら、中国人は「騙された」くらいの感情を持つ。日本の5倍以上の経済成長をしている国。時間も5倍以上速いと思った方が良い。日本での一週間が現地での1日くらいに考えないと、何もまとまらない。

2.インド
インドのビジネスマンは100%英語を話す。しかも押しが強くて発音が特殊。
正直、インド英語は別の英語じゃないかと思うくらい訛りが強い。さらに中央、南部の英語はさらに訛りが強く、北部のインド人が、南部のインド人の話す英語が聞きとれないといった冗談みたいなこともしばしば。
インド人ビジネスマンは基本的に論理的。ビジネスをするには英語でちゃんと説明しないと納得しない。しかも基本的に日本人からしたら、信じられないくらい「自己中心的」に話しを進めてくる。日本人的には「なんだそんな勝手な事!」と頭にくることの連続。また、ダメでもともとの無謀なチャレンジ精神が旺盛で、一度や二度断ったくらいでは諦めずに食い下がる。
その自分勝手な論理展開でビジネスを進めよてきたら、単純な事はちゃんと論理的に反論して納得させる。また余りに無謀な事を言ってきたら「ちゃぶ台をひっくり返す覚悟で」最初から無理言うならこの仕事は無かった事にする!と宣言する。最初の妥協や変な譲歩は後々の苦労の火種である。
また、研究開発のチームを率いるような場合、平気で上役の能力をさぐるような行為をしてくるので、最初に「自分は君たちより能力がある」と強烈に示す必要がある。これはインド人に限らず、ヨーロッパ、アメリカどこでもあるので、これは「洗礼」だど思って、一気に相手を押し込まないといけない。逆にその能力がないなら、海外の研究所とかを仕切る事はできないと思った方が良い。

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この辺の事情は、後にコラム的に書く。言葉だけでなく、ビジネスマナーも違うという心構えをしないと、色々と難しい問題が噴出する。

1-8 実践(2) 自然に聞く

さて勉強法の整理を一度しよう。ここまで述べたように、

英語は「音」
英語は「リズム」
英語は「感情」

英語を学ぶとは「学問」ではなく、「音楽」、「歌」のトレーニングに近い。本来、紙と文字で学ぶものではなく、口伝で学ばれるもの。実際、どの国の子供でも、文字を学ぶ前から親とは普通に話せるようになる。文字で学ばないと学習できない言語とかは存在しない。(ラテン語やサンスクリットはまだ別物)


聞き取れる?アメリカ人の子供は何の苦労もなく自然に聞き取れる内容。

大事なのは「自然に聞きとれる」ということ。意味を一生懸命に考えながら聞いては英語を聞いている事にならない。ましてや日本語の意味を思い出しながらでは、とても追いつかない。
言葉を聞くのは自然な行為。普通に母国語で会話して、特に頭が疲れることはない。女性にとってのおしゃべりなんてストレス解消の手段。

この「自然に意味と音がつながって聞き取れる」ことが英語学習の第一歩であり、実は全てなのである。

ほとんどの日本人は6年から10年にわたる間違った英語学習の経験から、自然に英語を学ぶ脳神経回路にゴミが大量に積もってしまっている。それを取り除くためには、何度も言うけども、非常に基本的な単語、フレーズを「そのままの形」で脳に刷り込むしかないのである。
セサミストリートの英語が「意識しないで自然に」聞こえるようにならないのに、次のニュースが「普通に」聞き取れる訳がない。(英語でビジネスをしようと思えば、最終的にはこのくらいが聞き取れる必要がある。)

そのためには、回り道のようでも、

以下のレベルから、何度も何度も聞きこんで、「音」と「リズム」を身体に染み込ませる必要があるのだ。


今の自分は聞き取れるけど、このレベルになるまで半年以上かかってる。
しかし、(1)でも言ったが、最初の基本を染み込ませるのには、人によっては膨大な時間がかかる。しかし、その後の進歩は速い。自分は48巻程度あった最初のテープは数週間以上、しかし最後のテープはリアルタイムに聞こえるようになった。

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ちなみに、YouTube上にある膨大な数の英会話素材に驚いている。自分の時代と比較したら考えられな状況だ。これなら、ほぼ「無料」で何でもできるんじゃないか?必要なのはやる気だけのような気がしてきた。
PART1では本当に基本の基本だけを重点的に解説し、さらに具体的な事はPART2から。

2011年9月30日金曜日

1-7 言語は感情である。

なぜ言語が生まれたのか?

これは自分にとってのライフワーク。その問題意識で言語の歴史をたどると、面白い事実がどんどん明らかになる。

日本語、英語、フランス語、ロシア語・・・これらの国語は、近代国家を成立させた一番大きな要素。しかしそれは印刷術の普及によって初めて可能になったのである。それ以前に国家が統一した国語を持つのは稀であった。(ローマ帝国とラテン語の関係はあの時代では奇跡的、だからこそ大帝国ができたのだが)近代国家の「共通標準プロトコル」としての国語という概念は、この300年くらいの短い歴史しかないのだ。

さらにさかのぼれば、そもそも「言語」は単体で生まれたのでもない。

「言葉」 「踊り」 「祈り」 「歌」 さらには 「演劇」 「神話」 「宗教」

これら、自分を表現し、人を理解する「コミュニケーション」という技術は、クロマニョン人の登場とほぼ時を同じくして、全て「一つのもの」として誕生したたと考えられている。
それまで自然の一部として存在していた人間が「自己意識」を発明し、自然と自分を相対化する視点を持った時に、これらのコミュニケーション技法が全て、混然一体として生まれたのである。

ギリシャ時代は市民の間で演劇が愛され、街角では吟遊詩人が物語を伝えた。しかし、当時の演劇に参加する市民も、吟遊詩人も、文字なんて読めない。彼らは口伝えにセリフを覚え、歌を歌い、踊りを踊って、神話も宗教も楽しんだのだ。

さて、随分と長い回り道を失礼して、何を言いたいか?

それは、
「人と人とのコミュニケーション=会話において、実は「言葉」の占める割合は30%も無い(6%とかいう研究者もいる)」ということ。

以下の文を(感情)を変えながら、読んでみよう。

It's a cake. (普通) それはケーキです。

It's a cake. (疑問) それはケーキですか?

It's a cake. (驚き) え、それはケーキなの? すごい!

It's a cake. (喜び) え、ケーキ、嬉しい!

It's a cake. (軽蔑) なんだ、ケーキかよ?

そう、会話においては、感情をちゃんと表現するのが、文字以上に重要なこと。これは絶対に忘れてはいけない。そして、感情には、顔の表情や身体の動きも無意識に連動し、総合的な「表現」がコミュニケーションという大きな枠組みで生かされる。

ちなみに、ビジネスコミュニケーションにおいては、ネガティブな内容を、怒り等、負の感情を抑えて表現するかも重要なんだけどね。それはまた別の話。

2011年9月29日木曜日

1-6 重点(2) RとLが区別できない

さて日本人には永遠の課題のRとLの発音。

はい残念ながら自分もヒアリングでは完全には区別できません。
すみません・・・しかし話す時はなんとか区別します。ちょっとだけ秘訣があります。

自分は18歳までネイティブな英語なんて聞ける環境にはなかった。1959年生まれ、当時の福島県、会津若松市にネイティブな発音に触れる機会なんてあるわけがない。確か中学校には英会話学習室みたいなものがあった気がしたのだが、いや高校には少なくともあった。しかし使った記憶はない。
そんな田舎でも何故か「帰国子女」さんはいて、英会話コンテストに選抜され、朝の朝礼時に「出陣前」の発表とかね。でも見事なまでに何を話してるのか聞きとれず。ちなみに、それでも英語のテストでは90点とか取ってたのは不思議だよね。

この50年で脳の神経回路網の研究は驚くほど進んだ。従来は「発達心理学」とかの領域で定性的に研究されてきた言語学習の仕組みは、定量的に「神経科学」で計測され、証明されるようになってきた。
それによると、脳には、ある年齢までに学習しないと、対応した神経回路網が固定され、変化できない部分があることが判ってきた。その時期を「臨界期」と言う。語学学習で大事な音声パターンに関しては11歳頃がその「臨界期」であり、過ぎると残念ながら神経回路網が新たな基本パターンを学習するのは不可能であるらしい。

確かに、自分も Play と Prey、Correct と Collect,  Rice と Liceなど聞き取れない場合が多い。
でも大丈夫。これから示す方法でリスニングを続け、「話し方」を変えると、半分くらいは聞き取れるようになってくる。あとは文脈で理解するしかないけど。でも、こうして普通にビジネスするのに全く支障は無いから、そのレベルでも大丈夫と割り切ろう。残念ながらアメリカのテレビのパロディは半分も理解できないけど、一緒に仕事して、表面的には英語ペラペラのイタリア人もアメリカのパロディーは理解できないと言ってたしね。

しかし聞きとれなくても話す時はに意識的に区別することはできる。

どうやら、日本人の発音するLはネイティブにはほとんどRに聞こえるらしい。これを知ったのは自分なりのヒアリング再学習を終えた29歳頃。だんだん英語が喋れるようになってきた時。これも大学の先輩、同じ学部の一年上。ハーバードのMBAを合格して、さらに蹴ったという逸話の持ち主。彼女と彼女の旦那さん(ベルギー人)と一緒に色々と話してたら・・・

「あらまぁ、大学の時は全然英語だめだったのに(はい、その通りです、すいません)、随分と話せるようになったじゃない。(あ、ありがとうございます。)でもね、あなたの発音、RとLが滅茶苦茶だよ。まあ、日本人は皆そうなんだけどね。そして全部Rに聞こえる。そのLをDだと思って発音してごらん?」

「LをDですか?」

「そうそう、例えば・・・」

I like you は I dike you

「は、はぁ・・・」

「だからさあ、Dと発音するつもりでLと発声してみなって!」

I collect は I codect .... clear は cdear

はい。この法則一つで、自分の発音はかなり日本人臭さが抜けた。(まだまだダメだけど、もう諦めてる・・・)皆も、このLの発音とWとVを直すと(後述)日本人の英語発音の最悪パターンから抜け出せると思う。さらに、自分が意識して、RとLの発音を区別してから、不思議に聞く方も昔以上にRとLが判るようになってきた。(その大脳生理学的な裏付けはわからないが・・・)

LをDという気持ちで発音すれば、RとLは区別できる!

1-5 言語はリズムである

1-4で説明した重要な点は

言語とは世界に存在する「物」や「行為」や「感情」に「音」を結び付けたものである

これは基本中の基本。
さらに、ここでは、もうひとつの根本的かつ重要な事を学ぼう。

言語はリズムである

人の進化の話に戻ると、クロマニョン人が生まれたのは10万年くらい前。その時、地球上で一番勢力を誇っていたのは旧人といわれたネアンデルタール人。クロマニョン人とネアンデルタール人の頭蓋骨の構造を比較すると面白い事実が判明した。ネアンデルタール人は音声を制御するのに、子音が作れなかったらしい。

ネアンデルタール人が
「うー、あー、おー」

と発生していたけど、クロマニョン人は子音と母音を組にして
「タカトコ タカトコ バカバカバカ」

リズムを作れるようになった。これが、コミュニケーションの様相を一変させる。表現できる言葉の数は飛躍的に増加し、複雑な表現も可能になった。ひいてはそれが脳の知的能力の飛躍的な向上につながった。

そういえば、アフリカではトーキングドラムのように、声の届かぬ場所では、通常の会話のリズムパターンだけをドラムで伝え、コミュニケーションを行ってきた。(今ではマサイ族でも携帯電話を持っているそうだが・・・)

この会話のリズム、ネイティブの人は、文字を学ぶ前に、耳で聞く会話のパターンから、自然に身に付けてしまう。あまりにも自然に身に付くために、通常の英会話学校ですら、この事実を教えてくれないようだ。

これを自分に教えてくれたのは、私の通った大学の同じクラブの英語学科の先輩。彼はメトロノームを鳴らしながら、こんな風に教えてくれた。

「 I think (that) it's true. と言ってごらん。」
♪=八分音符 (♪)=八分休符として。

       I  think / it's true
2/4 ♪ ♪    ♪  ♪

       I   don't think  /   its's  true
4/4 ♪   ♪    ♪   (♪)   ♪  ♪    (♪)(♪)

福島のド田舎の高校から出てきた自分に、ネイティブな発音で、メトロノームに合わせリズムに乗って軽く発生する英語は、まさに驚きの経験。あの地下の薄暗い部室に光が射したように感じたものだ。(後にも先にもその先輩が英語を教えてくれたのはこの一度だけ)自分が英語を再学習始めた27歳から、このことを思い出しながら聞いていた。、

会話からリズムを感じる事は単語を聞きとるのと同じように重要である

YouTubeを検索していたら、最適な入門動画を見つけた。これは非常に基本的なパターンで、内容そのものよりも、リズムを感じて欲しい。きっと録音している彼自身、リズムは何も気にしていない。教えてくれと言ったら困るかもしれない、しかし、こういった英語の根底に流れるリズムを掴むことが、全ての土台になるのである。




ちなみに、テレビコマーシャルでは、どのようなリズムで語るのかは重要な要素。アメリカなら小学生でも知っている有名なものを一つ。



だから、パロディではそのリズムを真似るのがさらに重要になる。



この英語の持つ「リズム」を自然に身に付けるためにも、これから順次、UPしていく音声から「リズム」を感じることを常に意識して欲しい。

このくらいが普通に聞き取れるようになれば英語再入門のステップ1はクリアー。

2011年9月28日水曜日

1-4 言語は音である

コミュニケーションとしての英語を身に付けようする時に、何よりも重要なのは

言語とは音である!

という事実。この単純な基本原則を私たちは長年の「英語教育」によって完全に忘れてる。

人類の祖先と言われるクロマニョン人は今から10万年くらい前、地球上に出現し、そこから言語の歴史は始まる。約2万年前から、農耕、牧畜が始まり、1万年前にはメソポタミア近辺に原始的な都市国家が生まれ、5千年前には最初の大帝国エジプトが始まる。
メソポタミアでは都市の発生と同時に、すでに原始的な文字が生まれている。

現代の日本なら、誰もが文字でコミュニケーションできる。しかし全ての国民が普通に「読み書き」できるようになったのは本当に最近のこと。グーテンベルグが活版印刷を発明する前の南ドイツの識字率はなんと3%!当時の近代国家の最先端ロンドンですら、識字率は20%、パリは10%だった。

人類が発生して100,000年、そのうち99,800年、時間にして99.8%、人口比で言えば98%くらいの人々は文字など知らずに人生を終えた。それでも人々は助け合い、愛を伝え、歌を歌い、演劇すら参加し、何の不便もなく生活することができた。

言語とは世界に存在する「物」や「行為」や「感情」に「音」を結び付けたものなのである

さらには「文字」というのは「音」という非常に豊かな情報を、便宜的な手段であり、そこには情報の大きな欠落、変容が起きている。最先端の処理技法を使っても人の音声を1秒記録すれば、数百バイトは必要。それに反して、文字で一秒の言語情報を記録すればたかだか10~20バイト。

ところが、私たちはその便宜的な記録手段である「文字」で英語を学び始める。そして文法という、これまた本末転倒な枠組みで言語パターンを学習する。本来の言語脳に子供が学ぶように「そのまま」の英語の音と構造が入るのは、もはや難しいのが現状である。
Blueという文字を見れば「ブルー」、Sadは「サッド」と、本来はあり得ないような文字と音との結びつきが、日本の英語教育を終えた人々の脳の神経回路には「配線済み」なのだ。

本当は日本の義務教育で得た全ての英語知識をゼロリセットして、外国の子供が学ぶようにゼロから英語環境に飛び込めば、間違いなく英会話は身に付く。しかし、残念ながらそれは無理、脳の配線を根底から消去するのは不可能。

そこで僕らができる最短の学習法は、「音」と「文字・単語」の関係を再構築する事なのだ。

2011年9月27日火曜日

1-3 重点(1) I’m sorry をThank youに!


 「心構え」を少し変えるだけで、コミュニケーションとしての英語が上達するポイントがいくつかある。その代表的なものが「I'm sorry.」

 海外で人に何かをしてもらった時、日本人は無意識に
 I'm sorry.
 と言ってしまう。これは大きな間違い。相手は非常に困惑する。例えばあなたが大きな荷物を持って移動中にイケメンのイギリス人がサっと階段でスーツケースを持ってくれるとしよう。あなたは思わず言ってしまう、
 I’m sorry!
 違う、違う!
 そこは、にっこりと笑顔で、相手の目を見て
 Thank you!
 なのだ。

 日本なら同じ場面での「すみません!」は普通のマナーだろう。「迷惑をかけないこと」をマナーとして最重要視する「引き算思考」の日本と「相手の行動に寛容になることでコミュニティを成立させ、コミュニティへの貢献を自分の徳と考える」足し算思考の欧米との根本的な文化的差異は非常に大きく、また身体に染み込んでいる。
 
 言葉と感情、身体の表現は必ず密接に結びついているので、
 I'm sorry.
 と
 Thank you.
 では、言葉に付随する無意識のボディランゲージも全く違う。


 あと、誤解が無いように説明すれば、街角で人にチョコンと当たったら、逆に日本にいる時以上に軽い感じでI'm sorry. または Excuse me.を言うのも重要。人ごみでゴツゴツ当たってるのに、無言で不気味な笑いを浮かべていては、今度は逆に「恐怖」に近いくらいの感情を欧米の人に与える。


 このI'm sorry. Thank you!は、何の文法も必要無いけど、上手に使えるようになったら、英単語数百個分以上のコミュニケーション力を手に入るのは確実。

1-2 勉強法(1) 自分の場合

英語に関しての知識と経験で勉強法は色々あると思うが、まずは自分がしてきた勉強法の説明から始めよう。

自分がこの勉強法を始めた時に使った教材は、大学生の時に「騙されて」買い、押し入れに5年間以上は眠っていた「TIME LIFE出版社 英会話教材」。15分程度のカセットが48巻かそれ以上あったと記憶している。
最初の一巻目は、ここで示したのと同じくらいに簡単な中学1年生レベル。その一巻目の15分を完全に聞き取れるまで、いや幾つかの単語は聞き取れないまま「音」として記憶するまで、3週間くらいかかっただろうか?

そして全部の「音」を身体に染み込ませて、テキストブックを開いた時の衝撃。

This is a blue shirt.

  a blue は 「アブゥ」としか聞こえない。
 「アブシャ」っていったい何だ?

そして、もう一度、カセットを聞く。

A BLUE SHIRT

驚くほど、深く、一つ一つの音が、言葉と一緒に脳に刷り込まれる。
あぁ、今、自分の脳から「あ ぶるー しゃーつ」という音が消えていく・・・

こんな単純で基本的な単語すら聞き取れないのに、映画やニュースが聞き取れる訳無かった。それから、ひたすら、その48巻を同じ方法で進めた。しかし、最初の一巻目は3週間、次はちょっと難しくて、4週間くらいかかったかも知れない。
しかし、数ヶ月たって気が付くと、10巻目くらいは1週間くらいで終わった。最後の40巻目くらいになると、ほぼ聞いてそのまま理解できるようになってきた。最終的に、ここに至るまで1年半くらいかかったけども。

基本はこれだけ、この「音と言葉の関係を構築する」だけで英語のコミュニケーションは可能になる。他にも大事な事は色々と書いて行くけども。

「音と言葉との関係を構築」する作業、これは本来は英語教育の最初に行われるべきものなのだ。残念ながら、日本では全く反対の方法で教育を行い、むしろ英語脳の基礎を破壊してから英語を勉強するという事態になっているのだ。

1-1 実践(1) 最初の一歩

(1)まず最初の一歩

まず、以下のYouTubeを聞こう。

画面は意図的に隠してあるので絶対に最初から見ない!

聞いて何と言っているのか書きだして見る。

単純だとバカにしないで、全部、一文字一文字聞いて書きだす。

全部、間違い無く、単数・複数の区別も含めて、聞いて書く。

一文字、一単語でも書きとれない単語があるうちは、絶対に画面を広げて確認しない。
完全に聞き取れるまで、何度でも、何回でも、何時間でも聞く。

本当にしつこいが、完全に聞き取れるまで、次に進んでいけない。
どうしても聞きとれない場合は、その「音」を口に出して「音コピー」する。
完全に音コピーができたら、YouTubeの拡大ボタンを押して確認する。
自分はこの第一歩と同様のことを終えるのに、当時のカセットウォークマンで、毎晩寝る時に聞き、通勤で聞き、一週間以上はかかった記憶がある。

(2)二歩目
最初の一歩が完全に終わったら、同様に次にチャレンジ。

一歩目の教材と同じ。

完全に聞き取り、書けるまで、絶対に画面を見ない。
聞きとれなければ、耳で聞いた「音」を口に出して「音コピー」する。
完全に音コピーができたら、YouTubeの拡大ボタンを押して確認する。
なぜ、この方法が有効なのか、実際に自分はどのように最後まで学習したのかは次に書く。

1-0 最初に

 3.11以降の日本は全てが変わってしまった。

 日本は1990年頃のバブルピークから20年かけゆったりと衰退してきた。そして自分はこれから20年で、かつての世界帝国ポルトガルのような歴史をたどると信じていた。官僚政治体制にも問題はあるが、国民の安全は守られ、自由を尊重しながらも、国民の総意で静か老成する幸せな国になると。
 しかし3.11以降の現実は、日本と言う国家の基盤を根底から揺るがしている。しかもこの非常事態に官僚・政治家は無策に徹し、国家全体を精神的、物理的に崩壊するに任せているようにさえ見える。
 チェルノブイリ原発事故は1986年4月、それから3年半後の1989年11月にベルリンの壁は崩壊した。日本はあと何年持つのだろう?

 この思いが自分にBlogをスタートさせた。
 
 福島の会津若松という田舎で18歳まで育ち、何も特別な英語教育は受けていない。最初の海外は27歳、サンフランシスコでコーヒー1杯も注文できずに悔しさと情けなさで泣きたくなった。しかしそこから独学で38歳の時にはユダヤ人の銀行家とM&A交渉を一対一で勝負するまでの英語力を身に付けた。その過程を公開すれば、これから英語を勉強する人の役に立つに違いない。
 また、この方法を周りの人にも伝授した結果、例えば、自分の兄は40歳で始め、海外で一人で英語で仕事できるまでになった。

 ・音声学習の脳神経回路は11歳で発達終了なのに中学校から英語を始める
 ・ローマ字から英語に入る
 ・文法から英語を組み立てる
 ・中学校の英語講師のTOEICが平均560点しか無い

 問題は山積み。日本の英語教育は意図的にコミュニケーション能力を破壊をしているのではとさえ思える。明らか心理学的、認知科学的に間違っている教育法が続けられている現実は目を覆うばかりである。 
 しかし!
 自分は現在より遥かにひどい環境で育ち、それでもビジネスで十分に使える英語が身に付いた。だから、今の普通の日本人が悲観することなど何もないと確信する。それらの致命的な問題点と矯正法を今回伝えようと思う。
 現在、英語学習に対する教材、学校は星の数ほどあるが、ここでは、それら全てに対してある種の新たな「入り方」の「枠組み」を提供できるものと信じている。

 そもそも、言葉なんて誰でもしゃべれる。朝青龍が日本語ペラペラになるのに、真面目な日本人が英語をしゃべるくらいできるのは当然なのだ。

 世界と個人で対峙するのか?
 国家と言う枠組みの奴隷になるのか?
 
 こんな時代だからこそ英語を最低限の道具として身につけるための方法を示したい。