2011年10月24日月曜日

4-2 英語教材および学習法のまとめ。

YouTube上には驚くべき量の英語教材が溢れている。
これらを使って学習する方法を再度まとめる。

1.日本人の脳に刻み込まれた、誤った英語脳を初期化する。
文法やローマ字から英語に入ったほとんどの日本人は最初の「理解の枠組み」が壊れている。土台が壊れている所に建物を建てるのは至難の技。それが今の日本人の英会話習得を必要以上に「難行・苦行」にしている。
言葉は
「世界を音に結びつけて表現したもの」
文字も文法も後から生まれた。言語の歴史は10万年、文字の歴史は5千年、文法はたかだか500年。
音はリズム、イントネーション、感情を合わせて一つのもの。
その基本を、恐ろしくらい基本的な音声教材から「文字、文法」無しに頭に刻み込む事で、誤配線を初期化し、そこから徐々に積み上げていく。

この1が本当に大事な基礎工事。これが確立しないと後がどんどん難しくなる。

2.基本文型と基本単語の使い方を見につける。
英会話に必要な基本文型、単語の数はどの程度だろうか?
業種によって違うが、おそらく、単語数3000、基本文型30くらいが経験的な数。業種によってあと必要な専門用語。寿司職人なら魚。理容なら髪型。ファッションなら素材、デザイン用語、それらは少ないようでちょっと数えればすぐに500や1000になる。その4000単語くらいが「音」として身につけば、ほとんどのビジネスではOk。

そして、ほとんどの日本人は中学三年生までの英文法を「音と感情」で再学習すればOKじゃないかな?

このブログでは1の「英語脳の初期化」しか説明していない。
このあと2の基本文型と基本単語の使い方は、日本人が間違いやすい重要点だけを説明し、補足の参考書(サイト)も示す。ここで2を全部説明するのは時間的に難しいので、基本的な勉強方法を示す。あとは豊富にYouTubej上に存在する教材で勉強は十分可能だ。

さて、まず、以下に、自分が調べた、YouTube上の参考サイト。

これは普通の日本人なら、何度やってもやりすぎる事はない。

■超初級~初級
http://www.youtube.com/watch?v=3h0dq5TrnBQ
http://www.youtube.com/watch?v=MaMS_of8cKU
http://www.youtube.com/watch?v=qI1yQQ8Ppa4

■中級
http://www.youtube.com/watch?v=lBzxe0te3Mo
http://www.youtube.com/watch?v=fxjK_rGepio

また、中級以上の難しいが、頻出する単語に絞ったサイトもある。

■単語
http://www.youtube.com/watch?v=DiFEyjpfvNY

3.文化の翻訳
これが普通の参考書には書いてないけど、とても大切なこと。
1-3 重点(1) I’m sorry をThank youに!
に述べたが、これは実は文法以前の「心の形」みたいなもの。
この原則はコミュニケーションにおいての「土台」。
これは実例を示しながら、さらに説明を続けていく。

実は通常の英会話教材では2の部分がほとんど。
しかし1と3で音と文化の基礎工事をしっかりすれば、2は自然に身体に染み込むのである。

4-1 脳は進化し続ける

本ブログを書くにあたり、15年前に読んて衝撃を受けたピンカーの著書の再読から始まり、言語学、認知科学、脳神経科学、分子生物学関連の論文を片っぱしから乱読してみた。

一つの衝撃的な論文に出会い、それを軸にgoogle検索するとさらに衝撃的な論文に当たるの繰り返し。これを一週間続けたら知恵熱を出して寝込んでしまった。

このブログの最初1-0に、現在の英語教育は自分の「古びた」認知科学的な知識と経験から見ても間違っていると書いた。しかし現実はさらに加速していた。英語教育だけでない、人間の知的発達から生命体の進化に至るまで、過去200年にわたる研究の知見を凌駕する変化が、このたった10年間で起きていたとは知らなかった。

過去の人間観すら根底から覆すくらいのマグマのパワーは爆発寸前。

例えば、

1.脳の中に記憶が定着する時は遺伝子発現によって新たなタンパク質がダイナミックに生成され、脳内の構造を組み替える。

2.脳の神経細胞は、神経刺激に対応して、リアルタイムで筋肉のように「動き、形を変える」。しかも0.1秒単位で。

3.後天的に学習された事も、遺伝によって子孫に伝わる。

このどれもが20年前に言ったら、トンデモ学者の烙印を押さ、学会追放になったもの。(実際に20世紀初頭に3を言った学者は認められす、自殺さえしている。)

そして進化という何十万年単位の環境との相互作用で行われると思っていたものが、人間の時間スケールでも起きうることが証明されつつあるようだ。

これらの事実は、本人の意思の力で、人間は何時でも進歩する事ができるという希望を示しているように思える。

「言語は楽器やバレエのように条件反射の組み合わせである」という説(?)も、どうやら証明されつつあるようだ。(ドイツでそのための学会すら出来ているのには驚いた。)

では、一週間程度、時間があいてしまったが、また集中して再開。

現実的に、YouTube上に十分以上の語学教材があることは確認した。学習に必要な素材は何の苦労もなく手に入るのは驚くべきこと。

今後は、それの個別に細かい説明を加えるよりも、学習法そのものと方向性に関しての説明に重きをおくつもりである。英語を使って実際にビジネスのコミュニケーションに必要な「文化の翻訳」は自分の経験から説明できる一番重要なものと再確認したので。

脳は進化し続ける、年齢制限は無い。

2011年10月21日金曜日

3-14 回答:初級編その7 

何度も何度も耳にタコができるほど言うけど、ともかく聞く。
聞いて聞いて、このテープ全体が暗記できるほど聞いて、それから、ここを開いてみる事。

幼児は初めて文字を目にするまで、何千時間も聞き続ける。

人間が使う言語は「音と世界を結び付ける」方法論であるり、私たちの脳はそれに適応して進化してきた。文字、文法から入るのは「言語みたいなもの」を一生懸命に覚えているだけなのだ。

私たちが日本語で普通に会話するのは「ストレス解消」だけど「苦労」ではない。英語を音として脳に刻み込み始めれば、それは日本語と同じようにスムーズに使えるようになる。




それほど難しい表現はないけど、自動音声認識した結果が20%くらい間違っている。それも含めて勉強かな。

1.Boris's catering (ボリスの総菜屋=ケータリング)の固有名詞は慣れが必要。

2.(0:52) question and answer が question about に、(1:00) he can't cook が he conquered(征服した)に間違えて音声認識されている。他にも沢山あるけど、普通に前の聞きとりを十分に頭に入っていれば、わかるだろう。

3.アメリカでもヨーロッパでも、普通にパーティを行うと、菜食主義者、イスラム教徒、ユダヤ教徒さまざまな人種、宗教の人々が集う。よく判らない場合、肉に関しては鶏か魚を中心にするのが無難。

4....hold on...wait a minute..ちょっと待って。非常によく使う表現。

前も書いたけど、聞き取れない所がある場合は、コメント欄に質問を。

2011年10月16日日曜日

3-13 回答:初級編その6 あのー

初級編5までを十分に聞きこんでいるなら、ここはそんなに難しく無い。もし全体の意味がつかめないほど聞きれないなら、明らかに急ぎ過ぎ。最初に戻り、もう一度聞き直してみよう。

これもCCはないので、Googleの音声認識エンジンをOnにして確認しよう。
今回は音声認識エンジンとの相性が悪くて、聞きとり精度はひどい。その間違いを指摘出きれば逆に合格だね。



いくつか、注意点を。

<Preference>
「好み」という意味の名刺。
英会話では学校英語では習わない単語、熟語がドンドンでてくる。テストで落とすために覚える単語と、実際に使われるのはかなり違う。この単語も学校英語なら動詞 Prefer の名詞形とかで高校1年くらいで習うのかな。まずは覚えてしまおう。

<Love Like Hate>
Loveを「愛してる」と考えないように。日本語的には「すごい好き」という感覚。

ちなみに、隙から嫌いまでの単語を並べると、こんな感じかな。

Adore > Love > Like  > normal > Dislike > Hate > Disgust

<well...>
そうだね~、という間合いの言い方。
これは多用を避ける事、プレゼンテーションとかで間にWellをいれるのは、日本語で、あのー、そのー、と言っているのに近い感覚を聞き手に与える。

<1:28- along basket ball>
ここではバスケットボール「しながら」という意味。このalongの使い方は会話ではよく使われる。

もしも聞き取れない言葉があれば、Q&Aでもどうぞ。

2011年10月13日木曜日

3-12 回答:初級編その5 早くも難関!

さて、何度も言うけど、ここを見るのは、完全に聞きとれてから。
今回はかなり難しいぞ。ちょっと気合いを入れて!



話されている内容は難しくない。中学校1年で3週間目くらいに習う内容かな?DOとDOESの区別は判る。でもネイティブじゃないと聞き取りは難しいよ。自分も実は一か所サラっと聞きとれない所があった。

CCで自動翻訳エンジンによる聞きとりのテキストが出るけど、30%くらい間違ってる。そのくらいここは難しい。

さてハイライトは0:49からの3秒間。ほとんどの日本人には

this is not ******** , can ******* for the party

としか聞こえないんじゃないかな?では(おそらくの)正解。

this is not one of your  football games, can you go get  some stuff that's good for the party...

何度も何度も、これを見ながら再び聞くこと。最低30回は必要だよ。

なぜ聞きとれなかったか?(簡単に聞きとれるならペラペラなはず)順を追って説明する。

1.gamesが聞き取れない!
これ日本人には「ギゥム」としか聞こえない。ここが核心です。明らかに訛った発音です。

2.gamesが聞き取れないから、前のfootballもフボとしか聞こえない。
結果として「フボギム」という意味不明箇所で理解の流れが止まる。

もしgamesが「ゲイムズ」と発音されていれば、「フボ」はfootballと解釈され、football gamesと理解されていた可能性は高い。

3.one of yourが消えた
もし、このフレーズが
one of your books
だったら、one of yourは「ワノブユ」でも聞きとれていたかもしれない。しかし後の「フボギム」の時点で脳は停止してるから、one of your はどこかへ消えてしまった。

「消える」とか言うのは比喩ではない。
脳が音を聞き意味に解釈される時、聴覚刺激は2~3秒のワーキンメモリに一括して蓄えられ前後関係等から処理される。一語一語、順番に処理されるわけではない!その中で解釈不可能な音。たとえば「フボギム」で悩んでいる間に、「ワノブユ」はワーキングメモリから蒸発したのだ。

結果として、このフレーズ全体は最悪
this is not ****************** the party
と聞こえて終わるのだ。
同じ理由から、
can you go get  some stuff that's good for the party...

go get=「ゴゲッ」
some staff that's good=「サムスタザグ」
はそのうち一語でも滞ると連鎖的に前後数秒が理解の空白になってしまうのだ。

このビデオには同じような難しい個所がいくつもある、

<1:01からの some things>
thingsがディンと聞こえる・・・これだけで前後に難しい単語は何もなくても理解が止まる。

<1:42からの RMB>
RMBは中国元。自分は中国で仕事してるから普通に聞き取れたけど、経験ない人には判らないと思う。

<1:20からのAnna Rechard>
これは固有名詞。固有名詞は沢山のパターンを聞いて覚えるしかない。

むしろこれらに比較したら、以下の文法用語はむしろ簡単だと言える。
singuler=単数形の
plural=複数形の
infinitive verb=動詞の原型

正直、ここまできたら、1-1から全て読み直してもらえると、これまで自分が説明してきた事が実感を伴って理解してくれるのではないだろうか?

2011年10月12日水曜日

3-11 回答:初級編その4 Excuse me.

十分に聞き取れたと思ったら、ビデオを見よう。



このビデオは何の手違いかCCが記録されていない。
そこで、CCボタンを押すと、Google社の音声認識の結果が表示される。その間違いが面白くて勉強になる。I'm a little lost. は聞きとれず。Tourist を Terroristに間違えてる。あなたは他にどのくらい気がついたかな?

このビデオで気をつけるべき事は一つ、

人に何かを聞く時はExcuse meから始める!

海外で街で迷った時など、いきなり
Where is the museum ?
とか聞く人がいるけど、これはひどく失礼。そして、やり取りが終わったら、1-3で説明したように、ちゃんと相手の目を見て、
Thank you !
英語のことで頭が一杯だと、相手にいきなり聞いたり、ひどい場合は肩とかスーツケースがゴツゴツ当たっているのに、気にしないで質問したり。特にアメリカ、イギリス、パリではこのマナーはとても重要。(実はイタリアやヨーロッパの田舎とかは人がおおらかで、いきなり聞いても笑って、答えてくれたりするけど。)

逆にニューヨークの繁華街とかは、日本人の感覚ではあまりに些細な事でもExcuse meという言葉の洪水と思うことしばしば。ま、郷に入れば郷にしたがえと。

1-3でも説明したが、「コミュニケーションのプロトコル=手順」は時として、いやかなりの場合、言葉そのもの以上に重要である。

ちなみにフランスでお店に入る時は、Bonjour とはっきり言って入る事がとても重要。特に小さなブティックとかに無言で入るのは「不気味」な印象を与える。お店はかれらの「家」に入るくらいの感覚を持って接するのがヨーロッパでは特に重要。

Hello, Excuse me, Thank you, I'm sorry の使い分けを身体で覚えよう。

3-10 回答:初級編その3 簡単な単語こそ重要

十分に聞き取れたと思ったら、ビデオを見よう。



これは非常に簡単だと思う。しかし簡単なフレーズこそ単純な発音がとても重要なのだ。

入試に出てくるような難しい単語は、発音記号も一緒に覚えて試験に備える人さえいる。

こんな単語、普通の英会話では一週間に一度出てくるかどうか。発音が少しくらいおかしくても困らない。

しかし基本的な単語、例えば、the, have, for, give , five, three 等がおかしいと全体の印象は致命的に悪くなる。おまけに、それら簡単な単語は「聞きとれた錯覚」でも何とかなってしまうから余計にタチが悪い。

難しい単語はちゃんと発音してるのに、fiveがオカシイ日本人とか結構いる。昔の自分もそうだった。良い機会だから、1-10まで再学習。



そして、同様に11-19まで。



数字を正しく発音できれば、あなたの英語の印象は20%くらいアップするよ。

3-9 回答:初級編その2 Java car ? ジャヴァカ?

十分に聞き取れたと思ったら、ビデオを見る。YouTube画面の[CC]画面を押せば、英語のテキストが出るので確認しよう。CCはClosed Captionの略。最初の意味は聴覚障害者のためのテキスト情報。語学学習には最適。



CCで表示されない表示されない表現や聞き取りのコツは可能な限り説明する。
(自分も聞きとれない場合はゴメン。数パーセントは聞きとれないかも。その時はネイティブさんに助けを頼むつもり。CNNやBBCのニュースは間違い無く聞きとれる自信があるけど、アメリカの高校ドラマとか60%も判らなくて途方に暮れる事もある。)

ここで気をつけて欲しいのは「Do you have --- 」の音。自分が初めてアメリカのホテルに着いた時にフロントが質問してきた。

Do you have a car ?

これが「読めない」日本人はいないだろ。しかし僕にはこう聞こえた。

ジャバカ?

Java car ?
じゃば ジャヴァ ・・・ デユヴァカ ・・・ あぁ ・・・ Do you have a ・・・

ビデオの1:20あたり、CCはDo you have the time ? と表示されるが普通の日本人は
「でゅばだたいむ」と聞いても当然だと思う。

haveのhは頻繁に行方不明になるから!

デュバ デュヴァ ジャバ ジャヴァ がちゃんと 「Do you have 」と聞きとれたら、このレッスンはOK。
逆にDo you have the time ? を軽く流して言う時は「デュヴァダタイム?」だね。
ダヴァ ダヴァ ダ~♪

3-8 回答:初級編その1 英語を学ぶ環境

では初級編教材その1を開いてみよう。



ここまで超初級をクリアーしてるなら、何の問題も無く聞きとれただろう。

このBlogを始める時に、YouTubeで色々な英語教材ビデオを検索して、このPodEnglishというコースを見つけたけど、驚いた。昔なら分割払いで20万とかしたようなリンガフォンの英語教材と同じものが、全てビデオで揃い無料か。自分が始めた時に比較して何て恵まれているのだろう。

それに自分の時代は1ドル250円とかで、今の3倍。海外に行く覚悟も今の数倍。

まるでAPIを組み合わせてサイトをマッシュアップするかのように、こうして自分が考える英会話講座も、既存の素材とツールを組み合わせて出来あがるのだから凄い時代になったものだ。

3-7 初級用教材 その13~16

では、同様にその13~16を。

1.音を聞いて、全部の音が理解できるまで、次に進まないのは今までと同じ。
2.書く内容が、簡単なQ&A等を持っているので、開いて確認する。
3.その1~その16まで回答編は別に用意した。

■その13


■その14


■その15


■その16

3-6 初級用教材 その9~12

では、同様にその9~12を。

1.音を聞いて、全部の音が理解できるまで、次に進まないのは今までと同じ。
2.書く内容が、簡単なQ&A等を持っているので、開いて確認する。
3.その1~その16まで回答編は別に用意した。

■その9


■その10


■その11


■その12

3-5 初級用教材 その5~8

では、同様にその5~8を。

1.音を聞いて、全部の音が理解できるまで、次に進まないのは今までと同じ。
2.書く内容が、簡単なQ&A等を持っているので、開いて確認する。
3.その1~その16まで回答編は別に用意した。

■その5


■その6


■その7


■その8

3-4 初級用教材 その1~4

随分と前置きが長かったけど、ここから本当の勉強の始まり。

ここから4個ずつリスニング用の教材を16個を順に提示する。4個づつ分けたのはブラウザーによっては、一度に16個も開くと時間とメモリーの関係で問題が起こる可能性が高いので。

ここから少し勉強方法が変わる。
1.音を聞いて、全部の音が理解できるまで、次に進まないのは今までと同じ。
2.書く内容が、簡単なQ&A等を持っているので、開いて確認する。
3.その1~その16まで回答編は別に用意した。
4.例えば その1の回答編は3-8 初級その1 「英語の意思」で確認する。

■その1


■その2


■その3


■その4


では!

3-3 言語の本質Ⅲ・「英語で考える」再び

2-6で「英語で考える」とはどういうことか?との質問を出した。

これが10歳以下の子供には、簡単。彼らの脳は、最初から音と世界との結び付けを、「言語という本能」の枠組みの中で、意識を使うことなく、呼吸するように自然に言語を身に付ける。言語は無意識の自然な条件反射として脳内に組み込まれるのだ。

しかし、自分たちのように、25歳も過ぎて、不自然な学習法で汚された脳で英語を学ぶには、別の学習法が必要である。

それは、意識して音と世界の対応を条件反射になるまで脳に刷り込む、そして次に音と文字との対応関係を再度学習する。

最初は、音⇒(日本語の意識)⇒反応・意味という過程で学習は進むが、何度も繰り返す事で(日本語の意識)が消え、音⇒反応・意味という条件反射が、基本要素として確立する。次に、一つの条件反射が出来たら、さらに複数の条件反射を組み合わせて、大きな単位の条件反射を作っていく。

これが、<言語とはピラミッドのように階層化された条件反射の集合体である>ということの意味である。
さらには、文法という概念も「条件反射」のひとつとして学習されるので(詳細は後述)、日本語の意識が入ることなく、英語脳が構築されていく。
これが「英語で考える」という事である。

最新の脳科学の研究成果も、この考え方の正しさを証明している
脳(大脳皮質)はその領域によって、色々な機能が局在している。
脳に怪我を負った人の研究で、特にある特定部位を傷つけると失語症といい、理解しても言語として表現できない患者さん発生した。
また最近は計測機器の進歩から、脳を外部から血流状態をリアルタイムに見れるようになり、脳の処理内容がどの部分に対応しているかも判るようになってきた。
人間の言語処理は左半球で上図のブローカ野(言語動作)とウェルニッケ野(文法処理)という部分が担っている事は失語症の研究で判っていたし、さらに最新の計測機器でも中学生、高校生が英語を学習している時は、この二つに血流が集中している事も確認された。

しかし、最新の研究で判ったさらに面白い事実がある。それは
「言語の初期の学習時にはウェルニッケ野の血流が増加するが、さらに学習が進み流暢になってくると、こんどは逆に血流量が減少する」
ウェルニッケ野は最初は意識的な文法学習に使われていても、学習が進むと逆に使われなくなってくる。これは意識レベルの学習処理が次第に条件反射の無意識レベルに再編成され、意識レベルの負荷が減ってくるとを示している。
意識レベルでの文法処理を介しているうちは、自然な英文を構築する事はできない。実際の脳も、条件反射の階層化で文法処理を行っているらしい。

さて、そろそろ、ここまでの理解を得て、初級の実践を始めよう。

3-2 言語の本質Ⅱ・本能、無意識、意識

<言語とはピラミッドのように階層化された条件反射の集合体である>

まず人間の精神構造の基礎を簡単におさらい。
生物としての人間の精神構造は、本能、無意識、意識の三層からなる。

(1)本能=無条件反射の集合体
生命体が生き延びるための情報処理の基底部分が「本能」。
単細胞生物のゾウリ虫から、昆虫、魚、爬虫類に至るまで、脳と神経系には生存に必要な処理プログラムが既にインストール済み。人間の場合、体温は37度前後に保たれ、食べ物は自然に消化され、心拍数は必要に応じて調整され、必要な酸素を身体中に送り届ける。これらは全て本能の営み。
40億年の進化の中、環境の変化と刺激に対して最適な反応を獲得した生物のみが生き残った。その反応は無条件反射として遺伝子に刻み込まれてきた。その無条件反射の集合体が「本能」である。

本能というと下等な感覚・意識のような誤解があるが、それは大きな間違い。免疫系によるウィルス撃退の仕組みなど、むしろ現代科学の粋を集めても、未だに解明されない程の複雑な仕組みなのだ。そして本能は生命活動が続く限り休むことなく働き続けるのだ。

(2)無意識=条件反射の集合体
条件反射といえば「パブロフの犬」の実験で有名。これは、特定の音刺激と食物を同時に与え続けると、音だけで唾液の反応が出るようになる。後天的に刺激⇒反応の自動回路が形成されることを示した有名な実験。日本人なら梅干しを見て唾液が出るのも条件反射である。

梅干しと唾液だけでなく、自動車の運転、楽器の演奏等も、メーター、標識、楽譜など、刺激と運動を繰り返し学習する事で、スムーズに動作が可能になるのも高度な条件反射の一例。

楽器演奏で言えば、最初は
視覚刺激(楽譜)⇒「認識と理解」⇒行動(演奏)
という流れで処理されていたのが、練習を続けるうちに「認識と理解」の処理が無くなって、
視覚刺激(楽譜)⇒行動(演奏)
と自動的な処理回路が形成される。

パブロフは旧ソ連の研究者だったが、それを拡大解釈した戦後のアメリカの行動主義心理学者は、条件反射だけで、人を思い通りに形成できるといった過激な思想も現れた。それは人間の可能性が環境と遺伝のどちらによって決められるかと言う、今に続く論争を巻き起こしている。
しかし、楽器演奏や車の運転のような技能が、条件反射の組み合わせによって出来あがっていることに疑いの余地は無い。

このように、後天的に獲得した学習活動で、自動的に刺激と反応の関係性が確立したものが条件反射。そして無意識はその条件反射の集合体である。

(3)意識=明示的に説明可能な行動の集合体
意識とは何か?これは、現在の脳神経科学の最先端の話題でもあるが、ここでは便宜的に、以下のように定義する。
「自分が何を行っているのか説明できる状態」が意識である。

自分で説明できる代わりに、意識が処理できる情報量は極めて少ない。心理学実験により、無意味な番号や数字列を一時的に記憶できる限界は7単位±2と判っている。普通に音声を聞き取り、書きとれる情報量は5-10バイト/秒程度と言われる。
ちなみに本能が処理する生体情報は数十メガバイト/秒以上と言われる。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、体内神経センサ―等から脳に集められる情報量は膨大なのだ。

ところが意識は無意識レベルの条件反射を一つの基本処理単位として扱い、最終的には巨大な情報処理を遂行する。
また逆に、最初は膨大な情報量の故に手間がかかっていた学習も、正しく継続すれば意識レベルから無意識レベルの条件反射に再編成することができる。

意識的に学習を重ねることで、刺激⇒意識⇒反応という処理フローから最終的には意識をバイパスして、刺激⇒反応の条件反射とするかが語学学習の本質なのである。

この条件反射は、本能を構成する無条件反射と違い、いつでも意識レベルでの操作が可能になる。
オーケストラの指揮者は100人の演奏者がバラバラに聞き別ける事ができる。サッカーの監督は、22人の動きを瞬時に理解する。これらは全て、無意識レベルの条件反射を基本処理単位として意識で理解する事で可能になるのだ。

ちなみに、10歳以下の子供においては、その言語環境に飛び込めば、意識のフィルターを通さずに自然に言語は獲得される。これは人間に「言語を獲得する」本能が最初から準備されている証拠。面白い話題であるが、また別の機会に。

2011年10月10日月曜日

3-1 言語の本質Ⅰ・条件反射

本ブログの一番大切な章に突入。長い説明が続くけど頑張って下さい。
ちなみにインターネットは双方向だから、質問や提案はいつでもどうぞ。
正直、自分が全て出来るようなると、それ以前の出来なかった自分をどんどん忘れてしまう。

この3章のテーマは次のもの。

<言語とはピラミッドのように階層化された条件反射の集合体である>

これを納得してもらえば、これまでの単調なヒアリングの重要性も、さらに明確になる。
できるなら、この章に入るまでに「超初心者編」はクリアーしてると理想的だけど。

さて、まずここまでの復習を。

1.英語は音である
2.英語はリズムである
3.英語は感情である

さらに大事なことは

4.ローマ字を忘れる
5.文法を忘れる

ここまでは良いかな?

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英会話の達人の本は、どれも「英語で考えろ!」と言う。無意識で考えろ、腹で考えろ、など・・・でも、それを現在の脳科学で説明すればこのようになるのだ。(最近、「脳科学」って売り文句的な怪しい響きがしていやなんだけね・・・)

<言語とはピラミッドのように階層化された条件反射の集合体である>

その方法論を整理するとさらに以下のようになる。

1.まず最初に「音と(世界)」の条件反射をたくさん身体で覚える。
2.時間的に短い、基本的な条件反射を、必要十分な量を確実に身体で覚える。
3.短い条件反射が確実に身に付いたら、それを組み合わせたより大きな条件反射を構築する。
4.単語~熟語~フレーズ~文章とより大きな条件反射のピラミッドを構築していく。

これが語学学習の原則であり、全てなのだ。

音と(世界)の条件反射の基本単位は以下のものがある。

・音と意味の条件反射(単語)
・音と感情の条件反射
・音と状態の条件反射(Be動詞、形容詞など)
・音と動作の条件反射(動詞、形容詞など)
・音と関係の条件反射(接続詞など)

音と(世界)の条件反射を小さい単位で確実にして、徐々に積み上げて最終的には言語の条件反射の大きなピラミッドを積み上げるのが今回の学習法の根幹なのである。

この条件反射のピラミッド構築は、楽器、ダンス、運動など人間が行う全てに共通する方法論でもある。

車の運転を例に。

最初は何をするのもしどろもどろ。ハンドル操作、アクセル、ブレーキ、ギアチェンジ、標識、道路の形状、全て一つ一つ覚えていく。しかし、ある瞬間から、まずアクセルと移動距離の感覚が意識操作から条件反射になる。ほどなく、同時にハンドル操作と道路の方向との関係も条件反射になる。

次々と小さな動作単位が意識操作から条件反射に移行し、最終的には、自宅から駅までの10分の運転は、その地図、信号のタイミングまで全て「一つの大きな条件反射」として身体に組み込まれるのだ。最後には、運転しながら携帯電話で会話することさえ普通にできるようになる。

語学の上達の過程もこれと同じ、ただ覚えるべき条件反射の数と質が車の運転よりも多くて複雑なだけ。

条件反射って、あのパブロフの犬の条件反射?え?文法を忘れようと言ったのに?これじゃ同じ?その説明は次から。

2011年10月9日日曜日

2-9 Think different (番外編)

2-7文法を忘れよう!まで一気に書いてきて「語学習得の本質とは?」を書き始めたところで、スティーブジョブズ死去のニュース。あまりのショックに一日茫然。一度も会ったことのない人の死が、自分にこれほどのショックを与える事実にさらに驚いた。これだけ多くの人に、自分を見直す機会を与えるとは、最高の死にざま。

番外編で一つ。1997年の有名なCMを聞きとってみよう。

Here's to the crazy ones, misfits, rebels, troublemakers.
クレイジーな人たち、周りに合わない、反逆児、問題児たちに乾杯!

The round pegs in the square holes. The ones who see things differently.
四角い穴に丸い釘。ものごとを別の角度から見る人たち。

They're not fond of rules. And they have no respect for the status quo.
彼らはルールを嫌い、現状なんて気にもしない。

You can quote them, disagree with them, glorify or vilify them. But the only thing you can't do is ignore them.
お手本にされたり、反対されたり、崇められたり、貶められたり。しかし彼らを無視することは絶対にできない。

Because they change things. They push the human race forward.
なぜなら彼らが物事を変える。彼らが人類を前進させるのだ。

And while some may see them as the crazy ones, we see genius.
クレイジーと言われても、彼らこそが天才なのだ。

Because the people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do.
なぜなら自分が世界を変えられると信じられるくらいのクレイジーな人こそが、本当に世界を変えるのだから。

これだけの人が登場する。
Albert Einstein (物理学者)
Bob Dylan (音楽家)
Martin Luther King, Jr. (政治家)
Richard Branson (実業家)
John Lennon (with Yoko Ono) (音楽家)
Buckminster Fuller (科学者)
Thomas Edison (発明家)
Muhammad Ali (ボクサー)
Ted Turner (実業家)
Maria Callas (オペラ歌手)
Mahatma Gandhi (政治家)
Amelia Earhart (女性飛行士)
Alfred Hitchcock (映画監督)
Martha Graham (舞踏家)
Jim Henson (with Kermit the Frog) (マペット使い)
Frank Lloyd Wright (建築家)
Pablo Picasso (画家)

途中で模型を持っているおじさんがバックミンスターフラー、宇宙船地球号という言葉を発明した彼が入っていることがジョブズの大きな思想背景だと思う。

そして最後に無名の(黒人かな、ギリシャ系かな・・・)少女が目を覚ます。この2秒間の表現にスティーブンジョブズの、未来への無限の希望を感じる。

そして今、スティーブンジョブズは最後に自分自身を正にクレイジーな奴として、この最後に自ら加わった。

時間があれば以下の感動的なスピーチを。CCを押すと字幕が英語と日本語が切り替わる。

だめだ、何度見ても泣けてくる・・・

2011年10月6日木曜日

2-8 ゲロッパは空耳ではない!

1-6のRとLの区別という項で、LをDと発音しよう!と説明した。
その件に関してミュージシャン仲間にして神経解剖学者のhadzkiさんから重要な指摘があったので、まとめてみる。

LがDに近づく時、DとTの音は逆にLに接近する。

Get up! Stand up! Stand up for your right!

みごとなまでに「ゲラプ! スタンロプ! スタンロッポーヨラィ!」

日本のコマーシャルで有名なジェームズブラウンの「ゲロッパ!」

これは実際にTと発音されてるのに、日本人が空耳でLと聞いているのではない。
本当にTとLが同化して発音されているのである。

=====
Get up, (get on up)
Get up, (get on up)
Stay on the scene, (get on up), like a sex machine, (get on up)

Get up, (get on up)
Stay on the scene, (get on up), like a sex machine, (get on up)

Wait a minute!
Shake your arm, then use your form
Stay on the scene like a sex machine
You got to have the feeling sure as you're born
Get it together, right on, right on.......
=====

これは昨日、今日始まったのではない。
明治時代の英会話の教科書にはこう書かれている。
「掘った芋いじるな」=ほったいもいじるな=What time is it now ?

だから今でも

しゃーらっぷ=Shut up
ちぇきら=Check it up
わら=water

と「TがLに発音される」のである。空耳ではない。

この2-8と1-6をリスニング時に頭の片隅においておこう。
でもこの「ら」は1-6で説明したように「だ」のつもりで発音するのですよ!お忘れなく!

(ちなみに1-6のhadzkiさんのオタク文化コメントは必読!)

2-7 文法を忘れよう!

自分がそうだったように、大学入試を終えて数年経ったら、受験英語の「一生使わないような」前置詞の選択、文法の間違い、そんな知識はキレイさっぱり消えてるよね?

それは良かった。いや冗談じゃなくて。

アメリカ人でもフランス人でも普通に育って、10歳くらいになれば、テレビ番組は何を聞いても理解できる。日本の小学校5年生もテレビ見たら、ほとんど全てを理解する。

そしてネイティブの10歳、11歳のレベルの会話力を第二外国語で身に付けるのは至難の業。

しかも、その10歳、11歳の子供は文法知識ゼロなのに完全な言葉によるコミュニケーション能力を持つ。自分だって子供の頃は「サ行変格活用」とか知らなかったでしょ?

文法は必要ありません。すっぱりと忘れて下さい。

ではどうやって文を組み立てるのか?コミュニケーションできるのか?

答えは簡単、10歳の子供のように「普通に英語で考えて」「普通に英語で話せば」良いのだ。

では「普通に英語で考える」とはどういうことか?どうすればできるのか?

これがこのブログの中核テーマ。次からじっくりと説明する。
これを納得した時、語学学習に関する視点が変わるよ。
(なんか自分の説明がドコゾのインチキ脳科学者みたいになってきてる・・・そんなことは無いからね。事実は淡々と説明するだけで重みがあるもの。)

そもそも文法を元に言葉を組み立て「普通のスピードで会話する」のは脳神経科学的にも不可能なのだし・・・そのあたりも次から。

まずは文法は忘れてOK。

2-6 超初級用教材 その6~10

では超初心者コースへの素材、残りの半分を。

■その6


■その7


■その8


■その9


■その10


一語も漏らさず聞き取れるまで、教材は次に進んじゃだめだよ。

こうやって、ローマ字で滅茶苦茶にされた神経回路を修復していると思って頑張ろう!

2-5 ローマ字を忘れよう!

超初級用教材その1~その5は順調にクリアしてるかな?この最初のプロセスはとても重要なので、焦らず、無理せず、ゆっくり・しっかり進めよう。

日本の英語教育の脳神経科学的な「間違い」はたくさんあるが、中でも最初にして最大のものは「ローマ字」。

言葉を習得する限界年齢としての「臨界期」は既に述べた。これは脳神経科学の事実だから良い・悪いを論議する必要は無い。第二外国語は10歳以前から始めるべきなのだ。小学校から外国語を学ぶと日本文化が崩壊するとか、変な理由で反対する人がいるが事実ならヨーロッパ諸国は皆、文化が崩壊している。

語学学習は「科学」なのだから間違った方法論で子供を教育することは「洗脳」。近代教育や学校とは200年くらいの歴史だし、日本の英語教育は「コミュニケーションの道具」でなく「試験選抜のための暗記素材」だったから、中学校の英語の先生のTOEICが550点平均でも問題は無かったのだろう。
しかし何という時間とエネルギーの無駄。6年から10年も英語を勉強しても海外で日常生活に必要な会話すらできない。さらに最悪なのは、日本の英語教育は、その後に言葉としての英語を身に付ける基本的な仕組みすら破壊してしまうのだ。

その問題の根源が「ローマ字」。最初から英語に入れば何の問題も起きないのに!

脳神経回路は最初に受けた学習刺激によって決定的に支配される。
「最初の刺激~反応による神経回路網の変化が決定的に重要」ということ。
さらに訓練・学習が進み、反応が条件反射のレベルで固定されたら修正は不可能に近い。

もしピアノの88鍵、1オクターブ12音は数が多いから、一オクターブは5音、上下3オクターブのミニ鍵盤で3年間練習して、それから12音の訓練をするとしたら?最初に正式な訓練をしないで、後から変な癖がついたのを直すのは難しいか、不可能である。

英語は難しいからローマ字から入る?

これは本来なら素直に英語の綴りと音との関係が入るはずの脳神経回路に、似て非なる刺激を最大限の強度で刷り込むことなのだ。

1.RとLを別のものと学習始めればいいのに、最初から一緒にして教える。あぁ、最悪。

2.Waは「ワ」じゃない!むしろ「ウェィ」 Waを「ワ」と最初に学ぶから、Where, What, Whoとかの発音が「日本語のワイウエオ」に引きずられる。

3.Teは「テ」じゃなくて「弱いツゥ」なのに・・・この子音+eで終わる語尾が強勢されてしまうことでどれだけ英語の発音が悪くなっているか。

弊害は10や20で済まない。心理学、脳神経科学の双方からローマ字から英語に入るのは百害あって一利なし!

言語とは「世界」と「音」とを結びつけたもの。

しかし、その英語の「音」を学ぶ神経回路網の配線を最初に破壊して、それから英語を学ぶというのはパロディですらある。なんと愚かな「教育」だろうか?
ここで提示する学習法で、くどいほど「時間をかけて音を脳に染み込ませて欲しい」と言っているのは、全て、この「最初に神経回路に詰まったゴミ」を掃除すること。だから、時間をじっくりとかけて「英語の音」を染み込ませて欲しい。

今からでも遅く無い! ローマ字は今日からキレイ、サッパリ忘れよう!

2011年10月5日水曜日

2-4 超初級用教材 その1~5

では超初心者コースへの素材を順に並べてみよう。まず10個用意した最初の半分を。

ほとんどの単語が中学1年レベル。しかし中学一年レベルが聞き取れなくて、高校や大学レベルが聞き取れることは絶対にあり得ない。中には幾つか難しい単語も出てくるかもしれないが、普通の英会話が別に日本の入試に合わせているわけではないので受け入れよう。
できれば、自分は中級と思っている人も一度はチェックしておこう。

■その1


■その2


■その3


■その4


■その5


さてどうかな、これ全部、一語も漏らさず聞き取れるまで、教材集は次に進んじゃだめだよ。他の部分は読んでもいいけどね。

聞き取れないからスグにYoutubeを開いてみるのは厳禁!ここ何度も言うけど、本当に大事だからね。
何度も何度も聞いて、考えて、音コピーして、それを最低30回くらいはやってから。聞き取れないということは、その単語は「音」として脳には入ってないわけだから。


実は中級だと思っていても聞き取れない単語の「根っこ」はこういう簡単なところに潜んでいたりするのだ。

2-3 教材を持っている人へ

さて、これからYouTube上から収集した素材をリスニングを教材として、日本の英語教育が染み込んだ英語脳の再配線を試みよう。

この講座でも十分な量を提供できるけど、もし自分の手元に「置物」と化した英会話教材があるなら、それもOK。MP3ファイルなら寝る前にベッドに入りながら「疑似睡眠学習」もできるし。
古本屋やヤフオクに行けば、昔ながらの英会話教材が「捨て値」で売られているかもしれない。それらは十分に役立つので、購入を検討する価値がある。

遼君で有名なスピードラーニングはどうか?

自分は試しにフランス語の評価版を試して正直あきらめた。この教材の効果を頭から否定する気は無い。むしろ高校生以下にはお勧めかも。いや小学生からなら確実に効果があるだろう。しかし30歳を超えて、まずは誤配線された音~単語の再初期化~再配線にはスピードラーニングの効果はそれほど無いようだ。

むしろ従来型の英語教材を最初の第一巻、第一章から「音」として頭に刷り込む事が重要かつ効果的。

その意味から、古本屋さんで(ヤフオクでも良いけど)リンガフォンとか何とか語学院教材セット、しかもできるだけ中学生レベルの簡単なものを購入するのは無駄にならない。むしろ非常に有益だと思われる。その場合は、このYouTube素材は無視しても大丈夫。

ちなみに何度も、しつこく繰り返すけど、聴く時に最初にテキストブックを開くのは厳禁。

十分に音を脳に染み込ませ、最後に字で確認。これだけは絶対に守るように!

しかも最初の第一章は最低でも朝から晩まで一週間かな・・・

2-2 実力テスト

まず自分のレベルを知ることから始めよう。

繰り返すが、勉強法の基本は、

1.このYouTubeを再生する。
(MP3に変換して携帯プレーやで寝る前に聞くのも有効)
2.途中で画面を拡大しない。(拡大アイコンを押せば現れる)
3.全部の単語が理解できるまで聞く。

ともかく、正直に「全部」の単語が理解できるまで聞く。
聞きとれない単語は耳で音コピーする。
この1-3が十分に終わったら、YouTube画面を拡大して文字、単語を確認。

自分は間違いなくこの超初級から始めた。

■超初級


■初級


■初級~中級


■中級


あなたはどのクラスからスタートかな?
今週は超初級から初めると仮定して素材収集と再構成を行う。中級以上の人はリスニング以外を読みながらお待ちを。

2-1 レッスン開始

PART1の準備編を終え、本編はここから。PART2以降で紹介する英語再入門の手順は以下のようになる

1.基本的な音と文字、単語との関係を再構築する
コミュニケーションとしての言語の本質は「音」と「リズム」。長年にわたって刷り込まれた「文字」+「本来は無い音」+「意味」という脳内配線を組み替えなければならない。もし、これが徹底してできてば80%の問題は解決済みと断言できる。なぜなら音と世界との対応関係が条件反射的に脳に染み込めば、人間は本来それを組み合わせたコミュニケーションは自然にできる動物なのだ。

そして、1を行いながら、以下の課題も徐々に身に付けていく。

2.重要な発音とリスニングの矯正
PART1ではRとLを説明したが、他にも日本人(学校英語を学んだ者)の共通課題である、VとBVとWFとVTとL、ER・OR等の特有のパターンの矯正法を考える。

3.英語文化の身体作法
身ぶり、手振り等、英語圏というよりキリスト教文化圏の最低限のマナーを説明。これら「身体作法」は言語以上に重要なこと。「非言語コミュニケーションは学問としても大きな分野。
実際、海外のホテルやレストラン等では一瞬にして自分とホテルの精神的な位置関係が変わるので本当に重要。

4.重要な構文
コミュニケーションの現場では、その仕事なりの専門用語を除いたら、重要なのは
20の動詞、10の前置詞、20の基本構文、1000の単語
このくらいかな。しかもそれらは独立しているのではなく、相互の動詞、前置詞、構文は全て密接に関係し合っている、その関係性を大きな枠組みとして捉えると「コミュニk-ション」の全体像が見えるはず。

そして何度も繰り返すが、重要なのは「文字」じゃなくて「音」として学ぶこと。

1のステップを確実にこなすには普通に考えれば半年、どんなに急いでも三ヶ月はかかると思う。でも6年から10年にわたる脳内配線、不要な条件反射の蓄積を掃除するわけだから、それは覚悟して「音」を学んでほしい。

でも相撲部屋の力士たちがあれだけ流暢な日本語を話すのだから、自信をもって進もう。

2011年10月1日土曜日

1-10 ちょっと長い自己紹介

ツイッターの自己紹介にはこう書いた。

「ベンチャー立ち上げ職人。専門はパターン認識とコンピュータビジョン。ムンバイ、深圳、イェルサレム、パリ、ボストン近辺うろうろ。時々イスタンブールやベニスに逃避。帰国時はドラマーとして新宿、荻窪近辺に出没。福島県出身につき原発問題へのコメントは批判的に偏向してます。」
まるで最初から海外でバリバリ活躍してるようだ。確かに、アメリカのMITの教授、イスラエルのヘブライ大学の教授等ともベンチャー企業を設立してるし、イスラエルの会社はM&Aまで自分でまとめた。痒いけど、自分を帰国子女と思ってる人もいる。(こんな発音の悪い帰国子女いない!)

現実は全く違う!

出身は福島県の会津若松市。高校までは普通の田舎暮らし。東京に出てくるのは年に一度あるかどうか。外国人を街で見かけた日には話題になるような街。中学校の英語の先生の発音とか、本当に酷いものだった。(先生ごめん!)現在、日本の中学校の英語教師、TOEICが560点、高校が620点らしい。それは問題だけど、当時の先生のTOEICなんて絶対に500点もなかったと思う。

でも重要なのは、それでもこうして話せるようになったという事実!

このBlog書くのに少し躊躇したのは自分の学歴。隠すことでも無いけど、上智大学の文学部心理学科卒。上智の文学部なら英語しゃべれて当然とかのイメージがあるから。
そんなことが無いのは当時の同級生なら皆わかるだろう。英会話の授業は悲惨の極み。最初から普通に話す御嬢系女子高卒、帰国子女らが周りに沢山いたが、田舎から出てきた男どもは全く話せない!部屋の片隅で「嵐が過ぎるのを」じっと待つ90分の長かったこと。
英作文レポートは「ミスが多すぎて採点不可能!」とまで。さらに普通に英語とは縁のない生活で受験英語の知識すらキレイに白紙に戻ってしまった。

そして初めての海外は27歳でサンフランシスコ出張。コーヒー1杯注文できずに悶々。そこで一念発起、1年近く暗中模索して自分なりの勉強方法を考え、その後2年くらい集中して勉強し、何とかしゃべれるようになり今に至るわけだ。

その後、自分はこの学習法を周りの何人かに広めたけど、例えば自分の実兄、日大の商学部を出て以来、英語に無縁の40歳が、自分でビジネスを英語でできるようにまでなった。
いつか時間ができたらこの学習法を伝える本でも書こうとか思っていたけど、今の日本の状況に対して貢献できればと、こうして書き始めた。

これから2~3ヵ月で何とかまとめたいが、このBlogで伝えた方法で身に付けるのには最低でも半年はかかると思う。しかし、半年で今までの日本の英語教育で脳に埋め込まれたゴミを排除する事ができれば、その後は自然に上昇は続くことを確信している。

自分の英語力の進歩を見ても、32歳でMITの教授と最初の会社を作った時よりも、その後、ずっと伸び続けているのが実感できてる。24歳の時に見た映画「ブレードランナー」を15年後にビデオで見て、そのままスッと理解できた時の感動は今でも忘れない。

1-9 英語の現場(1) 中国、インド

では実際どのように英語が現場で使われているかをざっと見てみよう。(ここには語学材料はないので、悪しからず)自分はアフリカと南米以外はかなりの国を仕事で回っているが、その中でもIT業界に限っての話。

■原則
世界中でビジネスしてきて、世界には4つのビジネス文化圏があると痛感している。
それは、

1.中国(本土)
2.インド
3.イスラエル
4.それ以外(欧米、アジア、その他)

イスラム圏は全く別の文化圏と言われるが、まだ書けるほどの十分な経験は無い。インド・イスラエルは会社も作り、20年弱の経験がある。

1.中国
普通の中国人は日本人と同じくらいに英語が話せない。しかし現在のITビジネスは中国抜きでは考えられない。
世界中の携帯電話の8割、PCの9割は中国で生産されている。携帯電話はこの1年間で8億台が出荷されたそうだ。その中心は香港から電車で40分で行ける深圳という都市。人口は1400万人~1600万人。毎年100万人ずつ人口が増加するという驚異的な発展が今も続いている。
深圳の企業の相手は殆どが外国企業、だからどこでも英語が通じる・・・はずだが、実際の英語はダメ。打ち合わせには「どこかから」英語の話せる「社員」が現れる。ほとんが女性。大学の英文科を出ているらしいが、英語力は日本の中学2年生程度。でも、その英語力でも驚異的な押しの強さでビジネスを進める。
百戦錬磨で英語能力も高いインド人にもひるむことなく、果敢に挑んでいく。この深圳パワーを見れば、日本人に欠けてるのは英語力じゃなくて、「押しの強さ」だけじゃないかと思えてくる。深圳で交渉するなら、専門用語と、中学2年くらいの英語力で十分。ただし、交渉マナーとして、最初にYESかNOかをはっきりと意思表示する事。値段などに関しても、小出しにするより、最初にドーンと目標値を設定して、YESかNOかをはっきりさせてから、次に進む。
最初に行った値段とか数量を当日決めずに、翌日に変えたりしたら、中国人は「騙された」くらいの感情を持つ。日本の5倍以上の経済成長をしている国。時間も5倍以上速いと思った方が良い。日本での一週間が現地での1日くらいに考えないと、何もまとまらない。

2.インド
インドのビジネスマンは100%英語を話す。しかも押しが強くて発音が特殊。
正直、インド英語は別の英語じゃないかと思うくらい訛りが強い。さらに中央、南部の英語はさらに訛りが強く、北部のインド人が、南部のインド人の話す英語が聞きとれないといった冗談みたいなこともしばしば。
インド人ビジネスマンは基本的に論理的。ビジネスをするには英語でちゃんと説明しないと納得しない。しかも基本的に日本人からしたら、信じられないくらい「自己中心的」に話しを進めてくる。日本人的には「なんだそんな勝手な事!」と頭にくることの連続。また、ダメでもともとの無謀なチャレンジ精神が旺盛で、一度や二度断ったくらいでは諦めずに食い下がる。
その自分勝手な論理展開でビジネスを進めよてきたら、単純な事はちゃんと論理的に反論して納得させる。また余りに無謀な事を言ってきたら「ちゃぶ台をひっくり返す覚悟で」最初から無理言うならこの仕事は無かった事にする!と宣言する。最初の妥協や変な譲歩は後々の苦労の火種である。
また、研究開発のチームを率いるような場合、平気で上役の能力をさぐるような行為をしてくるので、最初に「自分は君たちより能力がある」と強烈に示す必要がある。これはインド人に限らず、ヨーロッパ、アメリカどこでもあるので、これは「洗礼」だど思って、一気に相手を押し込まないといけない。逆にその能力がないなら、海外の研究所とかを仕切る事はできないと思った方が良い。

=====

この辺の事情は、後にコラム的に書く。言葉だけでなく、ビジネスマナーも違うという心構えをしないと、色々と難しい問題が噴出する。

1-8 実践(2) 自然に聞く

さて勉強法の整理を一度しよう。ここまで述べたように、

英語は「音」
英語は「リズム」
英語は「感情」

英語を学ぶとは「学問」ではなく、「音楽」、「歌」のトレーニングに近い。本来、紙と文字で学ぶものではなく、口伝で学ばれるもの。実際、どの国の子供でも、文字を学ぶ前から親とは普通に話せるようになる。文字で学ばないと学習できない言語とかは存在しない。(ラテン語やサンスクリットはまだ別物)


聞き取れる?アメリカ人の子供は何の苦労もなく自然に聞き取れる内容。

大事なのは「自然に聞きとれる」ということ。意味を一生懸命に考えながら聞いては英語を聞いている事にならない。ましてや日本語の意味を思い出しながらでは、とても追いつかない。
言葉を聞くのは自然な行為。普通に母国語で会話して、特に頭が疲れることはない。女性にとってのおしゃべりなんてストレス解消の手段。

この「自然に意味と音がつながって聞き取れる」ことが英語学習の第一歩であり、実は全てなのである。

ほとんどの日本人は6年から10年にわたる間違った英語学習の経験から、自然に英語を学ぶ脳神経回路にゴミが大量に積もってしまっている。それを取り除くためには、何度も言うけども、非常に基本的な単語、フレーズを「そのままの形」で脳に刷り込むしかないのである。
セサミストリートの英語が「意識しないで自然に」聞こえるようにならないのに、次のニュースが「普通に」聞き取れる訳がない。(英語でビジネスをしようと思えば、最終的にはこのくらいが聞き取れる必要がある。)

そのためには、回り道のようでも、

以下のレベルから、何度も何度も聞きこんで、「音」と「リズム」を身体に染み込ませる必要があるのだ。


今の自分は聞き取れるけど、このレベルになるまで半年以上かかってる。
しかし、(1)でも言ったが、最初の基本を染み込ませるのには、人によっては膨大な時間がかかる。しかし、その後の進歩は速い。自分は48巻程度あった最初のテープは数週間以上、しかし最後のテープはリアルタイムに聞こえるようになった。

=====

ちなみに、YouTube上にある膨大な数の英会話素材に驚いている。自分の時代と比較したら考えられな状況だ。これなら、ほぼ「無料」で何でもできるんじゃないか?必要なのはやる気だけのような気がしてきた。
PART1では本当に基本の基本だけを重点的に解説し、さらに具体的な事はPART2から。

2011年9月30日金曜日

1-7 言語は感情である。

なぜ言語が生まれたのか?

これは自分にとってのライフワーク。その問題意識で言語の歴史をたどると、面白い事実がどんどん明らかになる。

日本語、英語、フランス語、ロシア語・・・これらの国語は、近代国家を成立させた一番大きな要素。しかしそれは印刷術の普及によって初めて可能になったのである。それ以前に国家が統一した国語を持つのは稀であった。(ローマ帝国とラテン語の関係はあの時代では奇跡的、だからこそ大帝国ができたのだが)近代国家の「共通標準プロトコル」としての国語という概念は、この300年くらいの短い歴史しかないのだ。

さらにさかのぼれば、そもそも「言語」は単体で生まれたのでもない。

「言葉」 「踊り」 「祈り」 「歌」 さらには 「演劇」 「神話」 「宗教」

これら、自分を表現し、人を理解する「コミュニケーション」という技術は、クロマニョン人の登場とほぼ時を同じくして、全て「一つのもの」として誕生したたと考えられている。
それまで自然の一部として存在していた人間が「自己意識」を発明し、自然と自分を相対化する視点を持った時に、これらのコミュニケーション技法が全て、混然一体として生まれたのである。

ギリシャ時代は市民の間で演劇が愛され、街角では吟遊詩人が物語を伝えた。しかし、当時の演劇に参加する市民も、吟遊詩人も、文字なんて読めない。彼らは口伝えにセリフを覚え、歌を歌い、踊りを踊って、神話も宗教も楽しんだのだ。

さて、随分と長い回り道を失礼して、何を言いたいか?

それは、
「人と人とのコミュニケーション=会話において、実は「言葉」の占める割合は30%も無い(6%とかいう研究者もいる)」ということ。

以下の文を(感情)を変えながら、読んでみよう。

It's a cake. (普通) それはケーキです。

It's a cake. (疑問) それはケーキですか?

It's a cake. (驚き) え、それはケーキなの? すごい!

It's a cake. (喜び) え、ケーキ、嬉しい!

It's a cake. (軽蔑) なんだ、ケーキかよ?

そう、会話においては、感情をちゃんと表現するのが、文字以上に重要なこと。これは絶対に忘れてはいけない。そして、感情には、顔の表情や身体の動きも無意識に連動し、総合的な「表現」がコミュニケーションという大きな枠組みで生かされる。

ちなみに、ビジネスコミュニケーションにおいては、ネガティブな内容を、怒り等、負の感情を抑えて表現するかも重要なんだけどね。それはまた別の話。

2011年9月29日木曜日

1-6 重点(2) RとLが区別できない

さて日本人には永遠の課題のRとLの発音。

はい残念ながら自分もヒアリングでは完全には区別できません。
すみません・・・しかし話す時はなんとか区別します。ちょっとだけ秘訣があります。

自分は18歳までネイティブな英語なんて聞ける環境にはなかった。1959年生まれ、当時の福島県、会津若松市にネイティブな発音に触れる機会なんてあるわけがない。確か中学校には英会話学習室みたいなものがあった気がしたのだが、いや高校には少なくともあった。しかし使った記憶はない。
そんな田舎でも何故か「帰国子女」さんはいて、英会話コンテストに選抜され、朝の朝礼時に「出陣前」の発表とかね。でも見事なまでに何を話してるのか聞きとれず。ちなみに、それでも英語のテストでは90点とか取ってたのは不思議だよね。

この50年で脳の神経回路網の研究は驚くほど進んだ。従来は「発達心理学」とかの領域で定性的に研究されてきた言語学習の仕組みは、定量的に「神経科学」で計測され、証明されるようになってきた。
それによると、脳には、ある年齢までに学習しないと、対応した神経回路網が固定され、変化できない部分があることが判ってきた。その時期を「臨界期」と言う。語学学習で大事な音声パターンに関しては11歳頃がその「臨界期」であり、過ぎると残念ながら神経回路網が新たな基本パターンを学習するのは不可能であるらしい。

確かに、自分も Play と Prey、Correct と Collect,  Rice と Liceなど聞き取れない場合が多い。
でも大丈夫。これから示す方法でリスニングを続け、「話し方」を変えると、半分くらいは聞き取れるようになってくる。あとは文脈で理解するしかないけど。でも、こうして普通にビジネスするのに全く支障は無いから、そのレベルでも大丈夫と割り切ろう。残念ながらアメリカのテレビのパロディは半分も理解できないけど、一緒に仕事して、表面的には英語ペラペラのイタリア人もアメリカのパロディーは理解できないと言ってたしね。

しかし聞きとれなくても話す時はに意識的に区別することはできる。

どうやら、日本人の発音するLはネイティブにはほとんどRに聞こえるらしい。これを知ったのは自分なりのヒアリング再学習を終えた29歳頃。だんだん英語が喋れるようになってきた時。これも大学の先輩、同じ学部の一年上。ハーバードのMBAを合格して、さらに蹴ったという逸話の持ち主。彼女と彼女の旦那さん(ベルギー人)と一緒に色々と話してたら・・・

「あらまぁ、大学の時は全然英語だめだったのに(はい、その通りです、すいません)、随分と話せるようになったじゃない。(あ、ありがとうございます。)でもね、あなたの発音、RとLが滅茶苦茶だよ。まあ、日本人は皆そうなんだけどね。そして全部Rに聞こえる。そのLをDだと思って発音してごらん?」

「LをDですか?」

「そうそう、例えば・・・」

I like you は I dike you

「は、はぁ・・・」

「だからさあ、Dと発音するつもりでLと発声してみなって!」

I collect は I codect .... clear は cdear

はい。この法則一つで、自分の発音はかなり日本人臭さが抜けた。(まだまだダメだけど、もう諦めてる・・・)皆も、このLの発音とWとVを直すと(後述)日本人の英語発音の最悪パターンから抜け出せると思う。さらに、自分が意識して、RとLの発音を区別してから、不思議に聞く方も昔以上にRとLが判るようになってきた。(その大脳生理学的な裏付けはわからないが・・・)

LをDという気持ちで発音すれば、RとLは区別できる!

1-5 言語はリズムである

1-4で説明した重要な点は

言語とは世界に存在する「物」や「行為」や「感情」に「音」を結び付けたものである

これは基本中の基本。
さらに、ここでは、もうひとつの根本的かつ重要な事を学ぼう。

言語はリズムである

人の進化の話に戻ると、クロマニョン人が生まれたのは10万年くらい前。その時、地球上で一番勢力を誇っていたのは旧人といわれたネアンデルタール人。クロマニョン人とネアンデルタール人の頭蓋骨の構造を比較すると面白い事実が判明した。ネアンデルタール人は音声を制御するのに、子音が作れなかったらしい。

ネアンデルタール人が
「うー、あー、おー」

と発生していたけど、クロマニョン人は子音と母音を組にして
「タカトコ タカトコ バカバカバカ」

リズムを作れるようになった。これが、コミュニケーションの様相を一変させる。表現できる言葉の数は飛躍的に増加し、複雑な表現も可能になった。ひいてはそれが脳の知的能力の飛躍的な向上につながった。

そういえば、アフリカではトーキングドラムのように、声の届かぬ場所では、通常の会話のリズムパターンだけをドラムで伝え、コミュニケーションを行ってきた。(今ではマサイ族でも携帯電話を持っているそうだが・・・)

この会話のリズム、ネイティブの人は、文字を学ぶ前に、耳で聞く会話のパターンから、自然に身に付けてしまう。あまりにも自然に身に付くために、通常の英会話学校ですら、この事実を教えてくれないようだ。

これを自分に教えてくれたのは、私の通った大学の同じクラブの英語学科の先輩。彼はメトロノームを鳴らしながら、こんな風に教えてくれた。

「 I think (that) it's true. と言ってごらん。」
♪=八分音符 (♪)=八分休符として。

       I  think / it's true
2/4 ♪ ♪    ♪  ♪

       I   don't think  /   its's  true
4/4 ♪   ♪    ♪   (♪)   ♪  ♪    (♪)(♪)

福島のド田舎の高校から出てきた自分に、ネイティブな発音で、メトロノームに合わせリズムに乗って軽く発生する英語は、まさに驚きの経験。あの地下の薄暗い部室に光が射したように感じたものだ。(後にも先にもその先輩が英語を教えてくれたのはこの一度だけ)自分が英語を再学習始めた27歳から、このことを思い出しながら聞いていた。、

会話からリズムを感じる事は単語を聞きとるのと同じように重要である

YouTubeを検索していたら、最適な入門動画を見つけた。これは非常に基本的なパターンで、内容そのものよりも、リズムを感じて欲しい。きっと録音している彼自身、リズムは何も気にしていない。教えてくれと言ったら困るかもしれない、しかし、こういった英語の根底に流れるリズムを掴むことが、全ての土台になるのである。




ちなみに、テレビコマーシャルでは、どのようなリズムで語るのかは重要な要素。アメリカなら小学生でも知っている有名なものを一つ。



だから、パロディではそのリズムを真似るのがさらに重要になる。



この英語の持つ「リズム」を自然に身に付けるためにも、これから順次、UPしていく音声から「リズム」を感じることを常に意識して欲しい。

このくらいが普通に聞き取れるようになれば英語再入門のステップ1はクリアー。

2011年9月28日水曜日

1-4 言語は音である

コミュニケーションとしての英語を身に付けようする時に、何よりも重要なのは

言語とは音である!

という事実。この単純な基本原則を私たちは長年の「英語教育」によって完全に忘れてる。

人類の祖先と言われるクロマニョン人は今から10万年くらい前、地球上に出現し、そこから言語の歴史は始まる。約2万年前から、農耕、牧畜が始まり、1万年前にはメソポタミア近辺に原始的な都市国家が生まれ、5千年前には最初の大帝国エジプトが始まる。
メソポタミアでは都市の発生と同時に、すでに原始的な文字が生まれている。

現代の日本なら、誰もが文字でコミュニケーションできる。しかし全ての国民が普通に「読み書き」できるようになったのは本当に最近のこと。グーテンベルグが活版印刷を発明する前の南ドイツの識字率はなんと3%!当時の近代国家の最先端ロンドンですら、識字率は20%、パリは10%だった。

人類が発生して100,000年、そのうち99,800年、時間にして99.8%、人口比で言えば98%くらいの人々は文字など知らずに人生を終えた。それでも人々は助け合い、愛を伝え、歌を歌い、演劇すら参加し、何の不便もなく生活することができた。

言語とは世界に存在する「物」や「行為」や「感情」に「音」を結び付けたものなのである

さらには「文字」というのは「音」という非常に豊かな情報を、便宜的な手段であり、そこには情報の大きな欠落、変容が起きている。最先端の処理技法を使っても人の音声を1秒記録すれば、数百バイトは必要。それに反して、文字で一秒の言語情報を記録すればたかだか10~20バイト。

ところが、私たちはその便宜的な記録手段である「文字」で英語を学び始める。そして文法という、これまた本末転倒な枠組みで言語パターンを学習する。本来の言語脳に子供が学ぶように「そのまま」の英語の音と構造が入るのは、もはや難しいのが現状である。
Blueという文字を見れば「ブルー」、Sadは「サッド」と、本来はあり得ないような文字と音との結びつきが、日本の英語教育を終えた人々の脳の神経回路には「配線済み」なのだ。

本当は日本の義務教育で得た全ての英語知識をゼロリセットして、外国の子供が学ぶようにゼロから英語環境に飛び込めば、間違いなく英会話は身に付く。しかし、残念ながらそれは無理、脳の配線を根底から消去するのは不可能。

そこで僕らができる最短の学習法は、「音」と「文字・単語」の関係を再構築する事なのだ。

2011年9月27日火曜日

1-3 重点(1) I’m sorry をThank youに!


 「心構え」を少し変えるだけで、コミュニケーションとしての英語が上達するポイントがいくつかある。その代表的なものが「I'm sorry.」

 海外で人に何かをしてもらった時、日本人は無意識に
 I'm sorry.
 と言ってしまう。これは大きな間違い。相手は非常に困惑する。例えばあなたが大きな荷物を持って移動中にイケメンのイギリス人がサっと階段でスーツケースを持ってくれるとしよう。あなたは思わず言ってしまう、
 I’m sorry!
 違う、違う!
 そこは、にっこりと笑顔で、相手の目を見て
 Thank you!
 なのだ。

 日本なら同じ場面での「すみません!」は普通のマナーだろう。「迷惑をかけないこと」をマナーとして最重要視する「引き算思考」の日本と「相手の行動に寛容になることでコミュニティを成立させ、コミュニティへの貢献を自分の徳と考える」足し算思考の欧米との根本的な文化的差異は非常に大きく、また身体に染み込んでいる。
 
 言葉と感情、身体の表現は必ず密接に結びついているので、
 I'm sorry.
 と
 Thank you.
 では、言葉に付随する無意識のボディランゲージも全く違う。


 あと、誤解が無いように説明すれば、街角で人にチョコンと当たったら、逆に日本にいる時以上に軽い感じでI'm sorry. または Excuse me.を言うのも重要。人ごみでゴツゴツ当たってるのに、無言で不気味な笑いを浮かべていては、今度は逆に「恐怖」に近いくらいの感情を欧米の人に与える。


 このI'm sorry. Thank you!は、何の文法も必要無いけど、上手に使えるようになったら、英単語数百個分以上のコミュニケーション力を手に入るのは確実。

1-2 勉強法(1) 自分の場合

英語に関しての知識と経験で勉強法は色々あると思うが、まずは自分がしてきた勉強法の説明から始めよう。

自分がこの勉強法を始めた時に使った教材は、大学生の時に「騙されて」買い、押し入れに5年間以上は眠っていた「TIME LIFE出版社 英会話教材」。15分程度のカセットが48巻かそれ以上あったと記憶している。
最初の一巻目は、ここで示したのと同じくらいに簡単な中学1年生レベル。その一巻目の15分を完全に聞き取れるまで、いや幾つかの単語は聞き取れないまま「音」として記憶するまで、3週間くらいかかっただろうか?

そして全部の「音」を身体に染み込ませて、テキストブックを開いた時の衝撃。

This is a blue shirt.

  a blue は 「アブゥ」としか聞こえない。
 「アブシャ」っていったい何だ?

そして、もう一度、カセットを聞く。

A BLUE SHIRT

驚くほど、深く、一つ一つの音が、言葉と一緒に脳に刷り込まれる。
あぁ、今、自分の脳から「あ ぶるー しゃーつ」という音が消えていく・・・

こんな単純で基本的な単語すら聞き取れないのに、映画やニュースが聞き取れる訳無かった。それから、ひたすら、その48巻を同じ方法で進めた。しかし、最初の一巻目は3週間、次はちょっと難しくて、4週間くらいかかったかも知れない。
しかし、数ヶ月たって気が付くと、10巻目くらいは1週間くらいで終わった。最後の40巻目くらいになると、ほぼ聞いてそのまま理解できるようになってきた。最終的に、ここに至るまで1年半くらいかかったけども。

基本はこれだけ、この「音と言葉の関係を構築する」だけで英語のコミュニケーションは可能になる。他にも大事な事は色々と書いて行くけども。

「音と言葉との関係を構築」する作業、これは本来は英語教育の最初に行われるべきものなのだ。残念ながら、日本では全く反対の方法で教育を行い、むしろ英語脳の基礎を破壊してから英語を勉強するという事態になっているのだ。

1-1 実践(1) 最初の一歩

(1)まず最初の一歩

まず、以下のYouTubeを聞こう。

画面は意図的に隠してあるので絶対に最初から見ない!

聞いて何と言っているのか書きだして見る。

単純だとバカにしないで、全部、一文字一文字聞いて書きだす。

全部、間違い無く、単数・複数の区別も含めて、聞いて書く。

一文字、一単語でも書きとれない単語があるうちは、絶対に画面を広げて確認しない。
完全に聞き取れるまで、何度でも、何回でも、何時間でも聞く。

本当にしつこいが、完全に聞き取れるまで、次に進んでいけない。
どうしても聞きとれない場合は、その「音」を口に出して「音コピー」する。
完全に音コピーができたら、YouTubeの拡大ボタンを押して確認する。
自分はこの第一歩と同様のことを終えるのに、当時のカセットウォークマンで、毎晩寝る時に聞き、通勤で聞き、一週間以上はかかった記憶がある。

(2)二歩目
最初の一歩が完全に終わったら、同様に次にチャレンジ。

一歩目の教材と同じ。

完全に聞き取り、書けるまで、絶対に画面を見ない。
聞きとれなければ、耳で聞いた「音」を口に出して「音コピー」する。
完全に音コピーができたら、YouTubeの拡大ボタンを押して確認する。
なぜ、この方法が有効なのか、実際に自分はどのように最後まで学習したのかは次に書く。

1-0 最初に

 3.11以降の日本は全てが変わってしまった。

 日本は1990年頃のバブルピークから20年かけゆったりと衰退してきた。そして自分はこれから20年で、かつての世界帝国ポルトガルのような歴史をたどると信じていた。官僚政治体制にも問題はあるが、国民の安全は守られ、自由を尊重しながらも、国民の総意で静か老成する幸せな国になると。
 しかし3.11以降の現実は、日本と言う国家の基盤を根底から揺るがしている。しかもこの非常事態に官僚・政治家は無策に徹し、国家全体を精神的、物理的に崩壊するに任せているようにさえ見える。
 チェルノブイリ原発事故は1986年4月、それから3年半後の1989年11月にベルリンの壁は崩壊した。日本はあと何年持つのだろう?

 この思いが自分にBlogをスタートさせた。
 
 福島の会津若松という田舎で18歳まで育ち、何も特別な英語教育は受けていない。最初の海外は27歳、サンフランシスコでコーヒー1杯も注文できずに悔しさと情けなさで泣きたくなった。しかしそこから独学で38歳の時にはユダヤ人の銀行家とM&A交渉を一対一で勝負するまでの英語力を身に付けた。その過程を公開すれば、これから英語を勉強する人の役に立つに違いない。
 また、この方法を周りの人にも伝授した結果、例えば、自分の兄は40歳で始め、海外で一人で英語で仕事できるまでになった。

 ・音声学習の脳神経回路は11歳で発達終了なのに中学校から英語を始める
 ・ローマ字から英語に入る
 ・文法から英語を組み立てる
 ・中学校の英語講師のTOEICが平均560点しか無い

 問題は山積み。日本の英語教育は意図的にコミュニケーション能力を破壊をしているのではとさえ思える。明らか心理学的、認知科学的に間違っている教育法が続けられている現実は目を覆うばかりである。 
 しかし!
 自分は現在より遥かにひどい環境で育ち、それでもビジネスで十分に使える英語が身に付いた。だから、今の普通の日本人が悲観することなど何もないと確信する。それらの致命的な問題点と矯正法を今回伝えようと思う。
 現在、英語学習に対する教材、学校は星の数ほどあるが、ここでは、それら全てに対してある種の新たな「入り方」の「枠組み」を提供できるものと信じている。

 そもそも、言葉なんて誰でもしゃべれる。朝青龍が日本語ペラペラになるのに、真面目な日本人が英語をしゃべるくらいできるのは当然なのだ。

 世界と個人で対峙するのか?
 国家と言う枠組みの奴隷になるのか?
 
 こんな時代だからこそ英語を最低限の道具として身につけるための方法を示したい。